骨董業界で中国バブルが弾けてしまったら

2023-07-22

  • 買取業界の事情

ここ最近中国経済の衰退がよくュースになっています

不動産バブルの崩壊、海外からの資金流出による株価低迷、輸出入の不振、高い失業率などなど様々な要員が重なり合っていよいよ本格的な不景気が始まるのかもしれません

もし中国のバブルが弾けたら、日本の比ではないくらいのインパクトが世界経済に波及する事でしょう

また我々の骨董業界にも本当に大きな打撃を与える事は確実です

少なくともここ15年は中国バブルなしには成り立たなかったと思います

そのお陰で大金持ちになった日本人骨董商は数多くいますし、そこまでいかなくてもかなりの人達がその恩恵に預かっています

昔花形だった茶道具や日本画などの相場がどんどん下がっていって、多くの骨董屋が「中国物にしか夢はないよ」と言っています

正直当社も、もしバブルがなかったらおそらく仕事を続けていくことは厳しかったと思います

実際、業者市場によっては買い人の半分以上は中国人の所もありますし、落札された品物の半数以上は中国行きになってます

また市場以外でもネットオークションの落札者の多くは中国への代行業者が占めています

もともと日本には地理的、歴史的、経済的な理由により数多くの中国美術があったため経済力をつけた中国からの里帰り需要で中国美術が数倍〜数十倍になりました

「あの頃が一番儲かったなぁー、ちょっと古いお土産品とかでも数十万で売れたり」「中国人バイヤーも少なかったから市場で買って中国オークション出せば大儲け」「ヤフオクで買って中国オークションで大儲け」などなど

何事もバブルの最初が一番儲かるというのは本当みたいです(残念ながら当社はこのバブルには乗ってません、その頃はまだ本格的に買取は行ってませんでした)

その後中国人バイヤーが続々と日本の業者市場に参加するようになり、中国物で儲けた日本人骨董商は厳しくなりましたが中国人と日本人が競り合い、その後中国人同士が競り合うようになり相場はますます加熱していきました

そのうちに彼らは中国美術だけでなく、日本の工芸品や茶道具、贈答品、ブランド品までとにかく幅広く買うようになっていきました

それによって日本人が買わなくなって相場が暴落していた品物が売れるようになり、業者市場にも品物が前よりも集まるようになり業界は活性化していきました

当社もこの流れがもしなかったら、お客様から買取りが出来る品物が半分位だったかもしれませんし、買取価格も半分もなかったかもしれません(売れる値段が半分以下だったでしょうから)

もっというとビジネスとして成り立っていなかったかもしれません

それくらい骨董業界(当社も含めて)は中国に依存していて、もし突然業界から中国人がいなくなったらまず業者市場のいくつかはなくなるでしょうし、全体的に相場が下がるので利益が出しづらくなって廃業する業者も数多く出てくると思います

すでに働かなくてもいい位稼いだ人達や60代後半以上の人達はいいとしても、そうでない人達はかなりの危機に直面する事は間違いありません

ライバルや新規参入は減るだろうし、旨味がなければ大手業者も撤退するかもしれませんのでシェアを伸ばして何とか生き残ることはできるかもしれませんが、どちらにせよ困難な道になりそうです

自分たちのビジネスが他国に依存して成り立っているのは情けないと思いますが、それが現実なので仕方がありません

日本がバブルの頃は日本美術を中心に、西洋絵画など世界中の美術品が飛ぶように売れてまさに活況を呈していた頃に比べると隔世の感があります

特に最近は円安も拍車をかけ、安い国日本が買ってもらってるという図式で、一言で言えば国力の低下をひしひしと感じてしまいます

でもそんなネガティブな事を言っても仕方がないので、時代に合わせてしたたかに生き残っていかなければなりませんが、それにしてもチャイナバブルが崩壊した後の事を考えると暗い未来しか思い浮かびません

正直その後の事まで考えて行動している業者はほとんどいないと思いますの、それが出来たら未来は少しは明るくなりそうなので日々の業務を全力で行いながら次の一手を考えていきたいと思っています

 

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