日本もインフレ経済に突入か?その時の骨董品について

2024-01-18

  • 買取業界の事情

30年ほど続いたデフレ経済が終わり、それまで-1%~1%で推移していた物価上昇率が2022年頃から3%を超えるようになってきました

もちろん物価上昇の原因は景気が良くなったというより、外的要因(円安・燃料・原材料費の上昇など)によるものでスタグレーション(円安による輸入コストの増大や原油価格の高騰などにより、不景気であるにもかかわらず物価が上昇する事)とも言われていています

当然これはいい事ではないのですが、それでも政府からの賃上げ要請や最低賃金の上昇によって給料水準も、今までよりも大きく上昇しました

今後も人手不足は深刻化するので給料の上昇は続きと思いますし、物価の上昇は避けられないと思います

そうなると本格的にインフレ経済に突入する事になり、仮に年4%ほどの物価上昇が10年続けば計算上は物価は1,5倍になります

当たり前ですがそうなると物の価格はどんどん上がって、お金の価値がどんどん下がる事になります

1000万円銀行に貯金していても、今と同じ様な金利だった場合10年後には実質30%以上目減りしてしまいます

つまり物価上昇以上、少なくとも同等に収入が増えれば問題ないのですが年金だけで生活している人や収入が増えない人はどんどん苦しくなってしまいます

デフレはデフレで脱却しなければならなかったと思いますが、インフレも過度になるといろいろ問題が出てきますし、生き残っていくには今まで以上の努力が必要になってきます

そしてそんなインフレ経済の中での骨董業界や骨董品の話になりますが、そもそも一部のジャンル(中国美術・浮世絵・現代アートなど)を除くとバブル崩壊以降、相場は世の中のデフレ以上に品物によっては右肩下がりで当時の10分の1、20分の1といった事も珍しい事ではありません

実際に買取の現場で今の相場でしっかりと買取らせていただいても、購入時の10分の1以下という事も珍しくなく遺品整理の場合などでは「もっと別な物買っておいてくれれば良かったのに、金(GOLD)とか腕時計とか…」と言われたことも何度もあります

もちろん20年後30年後に何が値上がりして、何が値下がりするかなんて誰にもわかりませんし本人が買って楽しんだら十分だと思いますが気持ちは分からなくはありません

そんな当時から比べると全般的に安くなった骨董品ですが、このインフレ下でも相場が上がっている感覚はなく、良くて横ばい緩やかに下がっているような感じも受けます

さらにここ10年以上高値安定していた中国美術も、一時の勢いに陰りが見えてきています

そうなるとインフレ下の価格下落は一層の相場の低迷という事になってしまいます

これは扱う骨董業界にとっては本当に深刻な問題で、当社のような買取業者にとっては今までと同じ価格で買取させていただいても、お客様の満足度は下がる事になりますし相場の下落によって前より安くなったらなおさらです

売る場合においても今までと同じ値段で売っていても、相対的に(全体的な経費が上昇する分)利益は下がっていく事になってしまいます

もちろんその波に呑み込まれないように、買取価格以外での経費の効率化(買取価格を下げてしまうとそもそも買取自体が出来にくくなってしまいます)などは図っていかなければなりませんし、単価の伸び悩みは件数でカバーしていかなければなりません

さらに骨董品を中心に買取を続ける事には変わりありませんが、それ以外の古物全般にも今まで以上に力を入れていくつもりです

アンティーク家具・贈答品・カメラ・時計・おもちゃ・レコード・鉄道模型なども元々買取業務をメインにする前は業者市場で競り合って落札していた事もあり、知識や相場感はありますのでその辺もアピールしていこうと思います

こういうジャンルのものは需要が旺盛で、特に海外のコレクターの多いジャンルは価格の高騰が続いています

逆に言うと日本人しか好まない美術品(茶道具・日本画など)は厳しい状況です

そんな骨董業界にとっては難しい時代ですが、購入する側からするといい時代だと言えます

茶道具・絵画・西洋アンティークなど昔だったら手が出なかった値段のものが、お手頃になっていますしそれはこれからますます進んでいく可能性が高いです

今は画廊や骨董商の高い敷居を跨がなくても、インターネットなどでも入手できますし中堅作家のリトグラフなどには贋物もほとんどありません

そうやって少しづつでも骨董品に興味を持つ人、購入する人が増えると回りまわって相場も少しづつ上がっていってくれると思います

 

 

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