
もはや当たり前の言葉として「インバウンド」は使われるようになっています
コロナ前に訪日外国人は3000万人を超えていましたが、コロナで25万人程まで激減した後に今はコロナ前に並ぶほどになり、政府が目標として5兆円の経済効果を上げるほど日本経済にとっても無視できないものになっています
もちろん治安やオーバーツーリズム等のデメリットもあると思いますが、円安や日本の国力を考えると避けて通ることは出来ないと思います
そして訪日客が増えている要因はまずは円安で、2011年頃は一ドル80円台だったものが、今は150-160円に推移していて外国人からしたら為替で考えると半分位の価格になっていますし、さらに最近日本もインフレしていますが、10年20年のスパンで考えると他国に比べて経済成長せずにデフレが続いていたため、本当に安い国になったのだと思います
もちろん治安の良さや食事の旨さ、観光資源・文化などもあっての話ですが、それにしてもコスパの良さが重要なポイントといえます
もちろんこの恩恵が受けれる人はある程度限られていますし、逆に観光地のオーバーツーリズムや価格上昇・治安の悪化などデメリットを受ける事もあると思います
それでも観光業や旅客輸送業・飲食業界・百貨店等はインバウンド抜きでは成り立たない程に影響力が強まっています
それは我々のような骨董・リサイクル業界にとっても同じです
当社の売り上げから考えても、インターネットでは商材のジャンルにもよりますが、担当のスタッフから聞いてみると、おおよそ半分は海外の代行業者に落札されているようですし、その比率は年々上がっているようです
業者市場においても中国人、東南アジアを中心とした海外業者が量・金額ともにやはり半分は買ってもらっています
家具や日本画、着物など興味のないジャンルは日本人が競りますが、それ以外はおおよそ競りに参加していますし多くを落札します
もはや市場にとっても、売り人にとってもいなくては成り立たなくなっています
また当社は積極的に出店はしていませんが、骨董市などに出店している露天商の人たちに話を聞いても、インバウンド客をたくさん集客している骨董市はとても盛況みたいですし、実際に外国人の方が購買力が強くて、高い品物でも気に入れば躊躇なく買ってくれるので本当に助かるみたいです
また彼らを見ていると、仕事以外でも日本人よりも豊かさを感じます
訪日外国人自体が富裕層が多いのかもしれませんが、明らかにお金に余裕があって乗っている車や身につけている服や装飾品、食べているものなどがワンランクもツーランクも上に感じます
もちろん当社も彼らのお陰で売り上げを伸ばせている面は否定出来ないですし、いなければ売り上げも半減で経営自体が立ち行かなくなる可能性が高いです
ただし、少し長い目で見るとこのままでいいのかなぁと思うこともあります
ある意味で今やっている事は、日本を安く切り売りしているという事だと言えます
お客様から買い取らせていただいた日本の古い品物等を、彼らからしたら安い値段で買ってもらっているという形がずっと続いています
とわいえ日本人がもっと高く買う事は困難なので仕方ない事なのですが、普通に考えたら残念ですし日本とか日本人として見るとかなり危機的な状況と言えます
我々の先輩がいわゆるバブルの頃にしていた商いを聞くと、日本人以外が立ち入る隙などほとんどなく、日本人が売って日本人が買うので価値のある品物が日本に残って海外に流失する事などほとんどありませんでした
むしろ世界中の名品を日本人が買いまくって、どんどん日本に流入していました
まぁどちらも極端ですと健全ではありませんが、もう少し為替も含めて日本が力を取り戻さなければ、ますますの地盤沈下が進行して骨董品どころか日本の土地・車・食品・旅館・観光など生活に密着したものまで、手に入らなくなってしまいます
もちろん商いをする上で国籍で差別をするつもりはありませんし、買っていただく外国人の方に対しては業者であっても一般の人でも感謝していますし、ある意味この業界を一番支えていただいていますが、出来たらこれからは少しづつでも日本の方にも買ってもらえる比率が上がっていけば嬉しいですし、長い目で見るとその方が健全で安定的な商いにつながる様な気がします