買取業者のイメージで持たれがちなのが、価値のある品物を安く買い叩いて儲けているんじゃないかというものです
正直昭和の時代でしたら業者も少なくネットもなかったので、そういう事も通用していました
当時は日本の美術品は高額で飛ぶように売れていたので、規模を大きくやっていた所は億単位で儲けていたという話も聞きます
しかし今はもちろんそういう事は通用しません
競合も多く何よりネットが普及しているので情報は誰でも簡単に手に入りますし、お客様自身が売るためのツールも揃っているので(ヤフオクやメルカリなど)嘘ついたり騙したりすることは出来なくなっています
さらにSNSもありますのでいろいろ書かれたり、何より買取業者にとって一番大事なリピーターや紹介がなくなってしまうのですぐに行き詰ってしまいます
なので実はお客様が思っている以上に高く買い取っていると思います
実際、買取の中で最近増えている贈答品などは、少し古いもので量がそこそこある場合など「業者市場に持っていっても1万円はいかないだろうなぁ~」と思っても量が結構多いとあまり安い値段は言えず5000円位で買取することがあります
こういう時に大手古着買取業者や大手古本買取業者のように「〇百円ですね」とあっさりと言えるといいかもしれませんが(実際それくらいでないと利益は出ませんが)なかなか言えません…
車で出張して運び出してコインパーキングに止めて、果たしてこれは儲かるのか?と思いながら作業することは結構あります
また作家物など調べればすぐに中古相場のわかる品物は、基本的に儲からない価格を提示しなければなりません
そうしないと相見積もりでは負けてしまいますし、お客様が値段を知っている場合は信用を失ってしまいます
なので1件で大きな利益を出すのは今は難しく、件数を増やしてトータルで利益を確保していくしかありません
こういう事を書くと「そうは言っても儲かるからやっているんじゃないの?」と思われると思います
正直に言うとたまに大きく儲かるときはあります
それはどういう時かというと業者間の品物に対する見立ての違いから起こる場合が多いです
現代作家の作品は鑑定機関があり、そこで鑑定が通れば本物・通らなければ贋物というはっきりとした判断がありますが(なので有名な現代作家の場合、お客様に売るにも業者オークションで売るにも鑑定書が必要になります)いわゆる古美術品には鑑定書というものがありません
そういう訳なので品物が本物かどうか、いつの時代の物なのかは見た人の見立てによります
それを高精度で正解を出せる人が目利きという事になりますが、すべての骨董屋が目利きというわけではありません
そのため業者間の競りで事故(相場よりかけ離れた値段まで高くなること)が起こることがあるのです
特にここ数年は中国美術オークションで起きやすい気がします
当社も査定が難しい品物に関しては信頼できる目利きの外部スタッフ(複数人)に確認してなるべく正しい査定をするように心がけています
そうして買取させていただいた後に、複数の人に再度見てもらって間違いない評価だったのに出品してみると見立ての異なる二人が競り合って事故が起きたことが過去に何度かあります
後で周りの人に「良かったね~」「宝くじ当たったよ」と言われ実際その品物が後日、別のオークションで数分の一・数十分の一で売買されていたこともありました
もちろんそれとは逆で正当な評価を得られず損することもありますが、こういう事が起きた時は大きく儲ける事ができます
そういう意味では夢があるとは言えますが、実際の買取現場の多くではそれほど大きく利益が出ることは少なく数でカバーしている感じになります
だからよく「どうせ二束三文だし、面倒くさいから」と言って買取業者を呼ばずに品物を捨ててします方がいますが、意外とそんな事はないので是非捨てる前にお声がけください