前回・前々回のブログで骨董屋の良い点を書いてみたので、今回はこれから厳しくなるかもしれない骨董屋の現状や先々について書いてみようかと思います
①骨董品の相場が下がっていて上がる見込みがない
多くの日本の美術品がバブルの頃をピークとして下がり続けていて、下がるところまで下がったものやまだまだ下がりそうな品物もあり、日本画や茶道具などは数分の1から10分の1以下のものまであります
実際当社でも誰もが知っている有名な絵師の掛軸を10本程買い取りさせていただいて、美術オークションに出品したのですがその時の落札総額が約200万円、それでも「よく売れたねー、状態が良かったからかな」と言ってもらえました
でもその後で「昔だったら一本の値段だけどね」とも言われました
これは美術品に関わらず(例えば不動産や中古車なども)扱っているものの価格(単価)が高く、さらに値上がりしているものほど利益が出しやすいのは間違いなくて
さっきの掛軸も例えば50%で買い取りしたとしても、昔なら1000万円の利益が今では100万円の利益ということになります
なので同じ仕事をしても得られる利益は減少していて、これからさらに厳しくなりそうな雰囲気もあります
なぜここまで相場が下がったかというともちろん景気の後退が大きいですが、生活習慣も変わってしまっていて茶道をする人口、着物を着る人口、掛軸を掛ける日本間の減少など単純に需要が無くなった事もあります
そしてこれからの日本の経済や生活習慣を考えると、下がることはあっても上がることは難しいと思わざるおえません
そんな中これからも利益を上げ続けることは、かなり難しく簡単に明るい未来は描きずらいです
②中国バブルの怪しさ
ここ数年日本の美術市場は中国の力によって支えられている事は間違いありません
その波にいち早く気づいて努力して勝負して、もう働かなくてもいいくらいの富を手に入れた日本人・中国人はかなりの数に上ります
不思議なものでそういう人達ほど、今だに誰よりも勤勉に働いていますが
そして中国バブルの強さは中国美術の名品だけでなく、日本人に需要がなくなっていた贈答品などを大量に買い集めて輸出し本国で小売するバイヤーも生み出したことです
それまで見向きもされなかったブランドではない食器や花瓶などの相場が一気に上がって、もはや日本人の骨董屋では太刀打ちできない値段が数年続いています
しかし不動産バブルの崩壊などでかなりきな臭くなっている中国の景気が一気に悪化して、ビジネスにならないと判断されてバイヤー達が日本にいなくなり、中国美術品や贈答品の相場が一気に下がったら生き残れる日本の骨董屋はかなり限られることは間違いありません
もう一生分稼いだ人達はいいかもしれませんが、そうでない人達(残念ながら私も含めて)は苦労するどころの話ではないでしょう
だからその辺がわかっていて危機感を持っている人たちは「とにかく今頑張るしかないよ」と口にしています
その通りだと思います
なので当社もいかにお客様に呼んでもらえるか、買取させていただいたものを少しでも効率よく高く売るかに日々頭をフル回転させています
③ツブシが効かない
そして一番怖いのは、この仕事は特殊なものなので異業種で活かせる技術や資格ではないので、なかなかこの仕事が駄目になったら他で稼ぐことができない
いわゆるツブシが効かない代表的な職業だといえます
そして前回・前々回で書いたようにある意味自由で縛られない生き方をしている人が多いので、今更人の下で決められた時間で働くことなど出来ない人間ばかりです
実際周りを見ても他の仕事は出来ない、もしくはこの業界にどっぷり浸かって出来なくなった人ばかりです
サラリーマン生活を経験していた私ですら、この業界に入って15年過ぎてしまい40代半ばになってしまうと正直社会復帰?できる自信はありません
なので日本の美術品同様、中国美術も暴落したら・・・
骨董屋の行く先は考えただけでも恐ろしいものがあります