高齢化と相続による日本の停滞 買取現場から見る

2024-05-09

  • 買取業界の事情

当社が買取にお伺いさせていただく時に、遺品整理に伴う場合が結構あります

対応していただく息子さんや娘さんは私(40代後半)よりも少し上(50~60代)の方が多い気がします

日本の平均寿命が80代半ば近くですので結果的にそうなりますが、受け取る側の年齢も必然的に上がっています

そうなるとどういう事になるかというと、若年層に資産移転が進まない事になります

実際に1990年には年齢別の金融資産割合が30-40代が全体の40%近くあったものが、2010年の段階で20パーセントを切っています

逆に60代以上は30%くらいだったものが倍増して60%以上になっています

これも相続による資産の移動が主に80代から50-60代に行われたためだと思います

さらに日本人の特性として現役時代は家の購入や教育費・生活費などに収入の多くを(必要に迫られてローンなどを使いながら)使っていきますが、そういったものから解放されると将来への不安からあまり使わずに老後のためにためる人が多くなります

そしてあまり使わなくなった人たちが多くの資産を所有し、投資などもあまりせずに銀行に預けるだけになり経済が循環しなくなってしまいます

そのまま相続になると富裕層ほど多額の相続税を払い(場合によっては税金を払うために土地を売る事になります)残ったものも先ほども書いたように50-60代の方達に渡っても住宅ローンの繰り上げ返済や教育費、後は老後の貯えとして貯金という事になっていきます

それは悪い事ではもちろん無く、私が同じ年齢で同じ事があったらそういう風にすると思います

しかしもしこれが30代に相続されたら、それを原資として起業を志す人も増えると思いますし、そこまでいかなくても勉強して株などに投資する人も増えるでしょう

私の場合は20代は会社勤めをしていて、その後この業界に入り独立をしましたが、運良く親戚とサラリーマン時代の取引先に支援をしてもらって独立できました

最初の頃、軌道に乗らなかった時もその時の資金のお陰で耐える事が出来ましたし、そういう目途がなかったら独立できたかというとなかなか難しかったと思います

特別実績のない若者にお金を貸してくれる金融機関やベンチャーキャピタルは、なかなかありません

そして仮に貸してくれるとしても、それは借金になるので二の足を踏みたくなります

まだ我々のような古物業界は店舗を構えたり、人を雇ったりしなければそこまで資金が必要な業界ではなく、やり方によっては軽トラ1台あれば始められますが他の業界ではスタートからかなりの資金が必要な業界もあります

もちろん起業したとしても成功するとは限りませんし、むしろ失敗する方が多いかもしませんがチャレンジする人が多い方が活性化する事は間違いないですし、人が動けばお金も動きます

今の日本の給料体系では優秀な人が就職して真面目に働いても、そこまでお金は30代くらいでは貯まりませんし、さらに結婚して子供が生まれて家を買ったりしたらまずチャンスはありません

なので難しいとは思いますが、やる気がある若者(孫など)に生前贈与としてお金を渡す場合は税率を下げるとかしてお金の流れを若年層に向かうようにできないものかと思います

起業してからのしんどさも知っていますので、誰にでも簡単に勧める事はしませんがやはりチャンスがない社会は良くないと思います

若年層にチャンスが多くなれば、日本自体の活性化につながると思います

緩やかに高齢化が進んでいる、骨董業界に身を置くものとしてもそう思います

 

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