大事なのはプロの知識と、一般の方の感覚

2024-06-05

  • 深沢美術店のこと

知識経験がついて骨董業界にどっぷりと浸かってしまうと、世間の感覚とずれてしまう事があります(まさにそういう人をたくさん見ています)

業者市場に行くと「こんなゴミ持ってくるな」「売れるわけ無いだろ」と一刀両断する人も多いです

まぁこれはいわゆる閉じられたプロの世界なので良いとしても、この感覚が染み付いてしまうと

お客様からの電話対応がひどい業者も聞いたことありますし、当社が伺う前に来た業者の話で「そんな言い方しなくても」と思うこともあります

例えば今は需要の少ない、桐箪笥や雛人形の買取の依頼が来た時の話

もちろんこの業界にいる人間なら誰もが「売れない」と思いますし、それが常識みたいなものですが一般の方からすると「お婆ちゃんが職人にわざわざ作らせたいいものだから」「買ったときにすごく高くて1~2回しか飾ってないから売れるはず」と思って問い合わせする人もいらっしゃいます

そういう問い合わせの時に「そんなの今売れるわけないでしょ」とどこか小馬鹿にしたような対応をする業者も中にはいたりします

こういう対応は本当にあり得ないと思います

いくら売れなくても何故売れないか、もし処分するならどうするのが一番安いかという事などを、お伝えする位はしなければなりません

これが別の業界では、こういう失礼な対応は考えられません

例えば車のディーラーに行って人気の車種で、注文しても納期が1年以上かかるような車を街中で見かけて「これ欲しいんですけど、来週中に納車できますか?」と聞かれて「無理に決まってるでしょ、〇〇はずっと一年待ちですよ」と言われる事は絶対にありません

車に詳しい人、働いている人にしてみては常識でも一般の方からしたら知らない人も当然います

そういう人たちにも丁寧に失礼のない対応をするのが接客業の基本だと思います

そういう基本が出来ていない所も残念ながら、この業界にはまだ残っています

こういう点(電話対応)に関してはやはり大手の方がしっかりとしている場合が多くて、こういう所から仕事が大手に流れている事もあると思います

なので当社もたとえ電話の段階でお断りする内容だったとしても、必ず失礼の無いように対応する事を心がけています

あとは買取金額の事ですが、例えばバブルの時に高く買って今、あまり評価できない美術品というのは本当に多いです

ジャンルにもよりますが、当時の10分の1の価値があればまだましという場合もよくあります

その相場も業者からしたら当たり前でも一般の方からしたら当たり前ではなく、大した説明もせずただ事実(今の相場)だけを伝えてしまっては「この人何も知識ないんじゃないかしら」とか「素人だと思って安く買い叩こうとしてるんじゃないかしら」と思われてしまう事もあると思います

また買取を依頼する方が買った本人の場合、買った時の思い入れもあって余計に不信感を持たれてしまいます

そうなると仮に査定が適正だったとしても「この人には売りたくない」と思われてしまって買い取り自体が成立しなくなります

つまり買取に関して品物の価値をちゃんと理解し、今の相場を知った上で査定してもお客様の気持ちを汲まないと納得していただくとは難しいです

そうではなくどうしても業界歴が長くなって、業者との付き合いばかり多くなってしまうと経験や知識ばかり優先してしまって、一般の方の気持ちが分からなくなってしまいます

特にこの業界しか知らない方は、その傾向が強い気がします

私などは他業種からの参入になるので、その辺は一般の人の感覚も比較的あると思っています

しかしそうはいっても私もこの業界に入って20年近く経っているので、気を付けていないと感覚にズレが出てきてお客様の気持ちが理解できなくなって失礼な態度を取ってしまうかもしれません

そうならない様にプロとしての知識は常に蓄積しながら、一般の方の感覚は忘れないようにしていきたいです

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