骨董業界で超富裕層になれる人たち

富裕層とは明確な定義はありませんが、一般的に言われているのは金融資産(現金・預金・株式・債券・投資信託などの流動資産)を一億円以上持っている人達の事になります
まあお金持ちという事ですが、私が思うのはここには不動産や時計・車やそれこそ骨董品等が含まれていなく、例え一億円持っていても家は賃貸の人と金融資産は五千万でも資産価値一億円の不動産を持っている人では、後者の方が富裕層の気もします
ちなみに骨董屋で現金などはそこまで持っていなくても、骨董品が数億円分持っているような人もいると思います
もちろんそういう部分はありますが、ここでは金融資産だけの話に限定します
そして富裕層のさらに上に超富裕層と言われる人達がいます
超富裕層の定義は金融資産5億円以上で、日本にいる5400万世帯の中でわずか9万世帯しかおらず、実に0.16%しか存在しません(600世帯に1世帯)
まさにトップオブ金持ちと言えると思いますが、骨董業界でこの様な超富裕層にはなれるのでしょうか?
私が見聞きした所ですと、数は少ないですが確実に存在しています
そもそも超富裕層になるのがどの位大変かと言うと、普通のサラリーマンではまず無理です
大卒男性の平均生涯賃金が2億6000万円ほどですし(手取りは2億切るくらい)共働きで相当頑張っても4億は届かず、家を買ったり生活していたら、とても億など貯まりません
宝くじで6億円当選したり、そもそも家が大金持ちで遺産を相続しない限りは無理だと思います
月に10万円ずつ貯金しても400年以上かかりますし30万円ずつ頑張っても138年かかります
現実的ではありません
やはり支払う税金などを考えると有名スポーツ選手や芸能人などか、ビジネスで大成功しなければ難しいです
実際に超富裕層の人達の多くは、一億の壁と言われるように労働収入ではなく不労所得で稼いでいる人がほとんどの様です
そんな中でこの仕事で超富裕層になるのはどんな人達なのでしょうか?
骨董業界というのは一般の方には分からないと思いますが、様々な稼ぎ方(ジャンル)があります
まず1つ目は店舗を構えてお客様に小売する、昔からある商売です
ネットが無い時代はほとんどがこの業態だったと思いますし、今は店舗を構えながらネット販売も行っている所が主流になっています
そうした骨董店の中でも、もちろんピンからキリまであります
本当に一握りのピンのお店などはそれこそ顧客が超富裕層だったり、国立をはじめとした美術館にルートがあったり、販売するオークションも東京美術俱楽部やクリスティーズ、サザビーズといった超一流に限られます
それこそ扱う品物が数百万円からといった感じで、当社が主に扱う一点数万円クラスの品物など大げさではなく、落ちていても拾わないんじゃないかと思うほどです
実際に名品以外を扱うと店の名前に傷がつくと言って、本当に扱わない所も多いようです
まぁこういった老舗有名店は江戸時代から続くような歴史があったり、4代目5代目6代目といった人達も多く生まれた時から超富裕層だったりします
ただしこれはそれこそ極一部の話で、それ以外のほとんどのお店ではこういう事はなく、なかなかそこまで巨額な売り上げは難しいです
次に業界にいないと知らないと思いますが、業者市場で買ってそれを別の市場で売って利益を出すハタ師と言われる人達がいます
業者市場もまたピンキリで数百円から扱う所から、最低数万円〜数十億円まで扱う所まで様々です
また市場によって特色もあり、ここは茶道具が高かったり、家具が高かったり、書画メインだったりとその特色や参加している業者などを見極めながら売り買いをします
こういうハタ師と呼ばれる人達はまず前提として目利きでなければなりません、知識が人並みでは話になりませんし、さらに目利きだけでなく度胸や資金力、勤勉さも必要になりますし、協力してくれたり教えてくれたりする仲間も絶対に必要なので、長期的に成功するのは至難の業だと思います
基本的にはランクのそこまで高くない業者市場で買って、上の業者市場(東京美術倶楽部や国際オークション)で売るというやり方になります
話で聞いた事があるのは「〇〇さんが数十万で買ったやつが、3000万になった」「5000万円で買ったものが10億円以上に」などという夢のような話ですが、数十万数百万円程度の話なら本当にゴロゴロあります
ただしもちろん全部が全部上手くいくわけではないので、500万円で買ったものが3万円と言った事もよく聞きます
そういった損もまるで気にしない(勉強になったと思う位の)様なメンタルもなければ続かないと思います
こういうハタ師と言われる人でも五億を超えるような人は、やはり一握りですがいるはいます
3つ目は業者市場で仕入れて、ネットで売るネット屋と呼ばれる人達です
これに関しては扱うジャンルや規模などにより、こちらもピンキリですが、見ていてさらに話を聞いていると年々厳しくなっている様な気がします
業者が増え続けていて、当然競争も激化していて仕入れの相場が上がっています
私も買取を本格的に始める前は、同じ様に様々ジャンルの品物を仕入れて売っていましたが(この頃の知識は今かなり役立っています)
その時は一ヶ月で50万円位仕入れれば100万円位にはなって、一人なら経費を払っても食べてはいけるような感じでしたが、今では50万円の粗利を出そうと思ったら倍以上仕入れなければならにような状況です
それ位仕入れたら、売る手間も増えるので1人では手が回らずアルバイト雇わざる負えません
そうするとさらに経費が増えて難しくなります
そもそも人件費以外の経費もインフレで上がり続けており(ネット手数料・ガソリン代・家賃など)利益の確保が本当に難しくなりました
さらに誰でも簡単に調べられるアプリなども充実してきて、一件辺りの粗利はどんどん少なくなっています
もちろん努力と知識を駆使して、今でも充分利益を出し続けている人もいますが、さすがに超富裕層まではいないと思います
次に露天商と言われる骨董市やイベントなどで売る業態になりますが、こちらも古くからある商売ですが、コロナ禍の時はほぼ全滅していましたがコロナが明けて最近はインバウンド需要を取り込んだ骨董市などは盛況で、かなり売り上げも好調という話を聞きます
とはいえ基本的に骨董市・イベントといえば現金商売ですし(最近はキャッシュレスにも大分対応していますが)そこまで高額な品物はあまり取引されません
あと基本的に休日のみですし、天気にも大きく左右されるのでやはりそこまで大きなお金は稼ぐ事は困難だと思います
そして当社も含まれる買取業者です
基本的には一般のお客様から依頼を受けて、査定して買取をさせていただいてそれを業者市場だったり、店舗だったり、ネットだったりで販売します
この業態も今や大手の進出もあり、過当競争になっています
それこそ20〜30年前とかでしたら、今よりもかなり楽に仕事が出来たと思います
特にネットやお客様が自分で売れるプラットフォーム(ヤフオク・メルカリなど)がない時代などは競争も無かったですし、一般のお客様もほとんど知識がなく、何より今よりも圧倒的に美術品の相場も高く、よく売れていました
私がこの業界に入る前の話ですが、様々な武勇伝の様な話はよく聞きました
「わかっているだけで〇〇億円は稼いだ」「一回の市場で数千万円」
今そんな話はなかなか聞こえてきません
そんな中でもテレビCMをバンバン流していたり、全国にフランチャイズ店が沢山ある大手などは相当な売り上げと利益を上げていると思います
つまり買取業者でも上位数%以内に入れて、その経営陣だったら可能性は全然あると思います
またいくつかの業態を書きましたが、一つのやり方だけをしている人は少なくて、大体は店舗を構えながらネット屋もやったり、骨董市とネット、買取と店舗など色々組み合わせている人が多いです
当社も買取・市場売り・店舗販売・ネット販売・イベントと様々な事を行なっています
そうする事でリスクの分散にもなりますし、買取した品物に応じて高く売れる先を確保する事が、お客様から買える品物の幅も増えますし、買取額を上げる事にも繋がります
最後に話を戻しますが、この業界でトップクラスに稼ぐには会社を作ってフランチャイズ化して、大きくしてバイアウト(企業売却)したり、上場まで行って創業者利益を取ることだと思います
そうすれば桁違いの資産を築ける事でしょう
それには目利きとかよりも、抜きん出た頭の良さと行動力が必要になります
私には残念ながらそこまでの器量がないので、地道にやっていこうと思っています
おそらく超富裕層にはなれなそうですが、富裕層位は目指して頑張っていこうと思います