地価の高騰がアンティークショップや古道具屋に与える影響

東京の不動産価格が上がり続けています
実に13年連続で上がっていて、さらにここ数年は上がり幅も大きくなっています
特に23区は異常で新築マンションなど平均で一億を超えました(もちろん5億10億といった超高級マンションが押し上げているとは言え)
特別お金持ちの家に生まれず、平均的なの収入の人はまぁ手が届きません
私が子供の頃(バブル期)に「マイホーム、手の出る所は熊も出る」といったコピーを見たことがありましたが、景気の良さは実感出来ないのに土地の値段は当時の様な感じになっています
それでも世界的な主要都市に比べるとまだ割安らしく、問題にもなっていますが外国人の投資用にバンバン買われていて、それがさらに値上がりを呼んでいます
そして最近の資材高騰や人件費の上昇から考えて、これからも下がる要因は見当たらず都心部の不動産は上がり続ける可能性が高いみたいです
それにつれて店舗物件の家賃も驚くほど上がっています
私が独立する前(20年近く前)に働いていたお店は都内一等地にありました
場所も広かったので家賃も80万円位したらしいのですが、それも借りたのが今から30年くらい前だったのでその値段でしたが、当社が店舗を構えた時(14年ほど前)に移転をして、次に貸し出しする時には3倍程になっていて驚きましたがすぐに大手スーパーが入りましたし、もし今だったら間違いなくもっと高い事でしょう(300万円以上?)
そこまでいってしまうと成り立つ業種は限られてきますし、資本のある大手でないと大家も強気でしょうしなかなか借りられませんし、継続するのは困難を極めます
実際に当社は13年程前から代官山Tサイト敷地内で不定期でイベントを行なっていますが、周りの店舗がしょっちゅう変わっています
私が学生の頃からあるような有名店は続いていますが、新規でお洒落なアパレルショップは見てると2年以上続いている所はほとんど無さそうです
それでも次がすぐに埋まっているので、いいですがいつか賃料が高すぎて埋まらなくなったら街の過疎化になりそうな気がします
飲食店も入れ替わりが激しくて、家賃・人件費・食材高騰とトリプルパンチですからよほどの人気店でないと続かないでしょう
ちなみに当社が14年前に桜新町に借りた店舗も、最近の近くで空いている店舗物件の相場を見ていると今新規で借りると、倍位の値段になっているかもしれません
そうなると我々のようなアンティークショップ・古道具屋などの商売は都心では成り立たなくなってしまいます
昔からの家賃だったり、自社物件で営業している店は生き残っていますが、新規でいわゆる繁華街でオープンする店はほとんど聞かなくなった気がします
それはそうです
あまりに高い家賃を払っていると、売っても売っても家賃に消えてしまって、特に人など雇ってしまうと人件費も上がっているので、とても継続するのは難しくなっていきます
なので同業者をみてても今は北関東や神奈川・静岡などに、少し大きめな店舗を構えて営業しているスタイルが増えている気がします
それを可能にしているのはやはりSNSの力だと思います
インスタなどでしっかりと仕上げた家具などを、センスよく撮影してアピールして、そこで完結して販売する事もあれば、実際に見たいお客様には店舗に来てもらって説明しながら販売したりしているみたいです
お店も毎日決められた時間を空けるというより、予約制の形を取って効率良く営業しています
こういう形が取れるのも、固定経費が低くて済むというのが大きいと思います
昔なら誰も来てくれなかった場所でも、扱う品物が良ければ数多くの人ではなくても、興味のある人たちに刺さって来店につながる時代です
こうなるとますます高い家賃を払いながら、営業するメリットは少なくなります
今後もその傾向は加速していく事は間違いないと思います
逆に言うとそれ位の家賃を払ってもやっていけるほど、アンティークショップや古道具屋は儲かる商売ではないと言う事です
ですので新しくそういった店がオープンして、扱っている品物の値段が特別高くなければ応援の気持ちも含めて買ってもらえればと思います
そうしないとどんどん街が味気ないものになってしまいます