老老相続について 買取の現場で思うこと 後編

前回、老老相続の問題点として高齢者から高齢者に資産が移動するために、資産がそのままスライドしてしまい社会にお金が回らなくなりそれが経済成長の停滞の一因にもなっているなどと書きました
実際に買取現場でも当社は遺品整理に伴う買取が多いため、相続された方から買い取らせていただく事が多いのですが、やはり私より(40代後半)も一回りくらい上の方が中心になります
そして今回書くのは老老相続の別の問題点になるのですが、やはり被相続人(財産を残す人)が80代90代になってくるとどうしても認知症などによって正常な判断や手続きが難しくなってしまう事です
統計によると80代後半になると男女あわせて4割程は認知症の症状があり、90代になると半数を超えるようになります
また今の60代位だと一人っ子という方も少なく、兄弟が数人いてそのうちの一人でもそういった症状が出てしまうと、なかなか全員同意が取れずに話が前に進まないかも状況になる事もあるようです
私が買取で聞いた話でも実家の相続人が3人いてそのうちの1人が正常な判断が出来なくて、売却などに同意出来なくて別の兄弟が銀行からお金を借りて相続税を払ったけど売却が進まずに困ってしまって、弁護士立てて裁判で争って競売に掛けることがやっと数年経って決まったという事も聞きました
また独身の方の相続の場合で、相続人が兄弟と姪の場合で付き合いがほとんど無かったためどこの銀行にお金があるのかから、まるで分からなくて、時間と手間がかかり数年経って何とか終わったと思って、遺品の買取に当社を呼んでいただいて買取も終わり、後は家の解体・売却に進もうとしたらその直前に物置の整理をしたら数千万円の現金が出てきて、また相続の問題になったりしたという事もありました
また相続ではなく生前整理においてもこういう事にまつわる問題もあって、知り合いの業者から聞いた話ですが問い合わせをもらって日時を調整して出張買取にお伺いして、本人が一人で対応してもらい家の中で査定をしていると突然その人が「あなた誰!強盗?警察を呼びます」と言い始め名刺を出してもそれまでの経緯を話しても伝わらず、結局警察を呼ばれてしまいその後警察に電話の履歴や名刺、経緯を説明した上で(まだ何も買取していない)お客様の家族を呼んでもらい誤解が解けたらしいですが、その後その会社では出張買取を始める際に「当社はお客様からの依頼で出張買取に来ました」という書面にサインをもらってから査定を始めるようになったみたいです
ここまでの状況は当社はまだ経験はありませんが、お客様が高齢の方とその息子さん娘さんで対応していただく事は多いのですが、査定の途中で「お母さんもう相談した事じゃない」などと揉め始める現場は何度か経験しました
そういう場合は基本的に買取はその日には決めずに「もう一度相談してください」と伝える様にしています
やはり全員が納得した形じゃないと後々トラブルになる可能性もありますし、満足度も下がると思います
こういう現場を経験するとなおさら相続などに関しても、事前にしっかりと対策していくことは大事だとは思いますが、我が身になって考えるとなかなか簡単ではありません
遺言書を書いてもらうとか、生前贈与・家族信託・成年後見人制度など元気なうちから話を進めるのは気が確かに進みません
いつまでも元気でいて欲しいという気持ちもあるので、話を切り出すのも気が重いです
それでも買取の現場で日々聞いてきた事から思うには、やはり不動産など資産が沢山あって相続人が複数人いる場合は、お互いが元気なうちに専門家を入れて相談していた方がいいと思います
それと時間がない中で物事を進めるのは大変なので、遺品整理の量を減らすためにも出来れば必要な品物以外は生前整理として進めていく方が後が楽になると思います
それは数々の現場を見てきて実感として間違いない気がします