日本人ファースト 骨董業界においては

先の国政選挙で一躍脚光を浴びたキャッチフレーズが「日本人ファースト」だったと思います
このブログでは政治の事を詳しく書く事はしませんが(そもそも大した知識もないので)今の日本人が抱える不安や不満に刺さった事は間違いありません
そういった事に反論する人は外国人犯罪は実は減ってきているし、税金や保険に関しても外国人が優遇されている事はないと、数字を出して証明しようとします
ところが実は本当の問題はそこではなく、生活習慣や常識等が異なるために起こるストレスだったりします
ゴミの出し方や夜中まで騒いだりといった犯罪ではない所や、インバウンドによるオーバーツーリズム、安い安いと日本の物を買い漁る姿などを見ていると感じる不満
コンビニ前に日本の若者が集まっていてもそこまで感じなくても、外国人が集まってわからない言語で喋っていると感じるちょっとした不安等が蓄積されてきているのかもしれません
その上ヨーロッパ諸国が移民問題で、治安などが悪化しているニュースなどが流れるとそれに拍車がかかります
そういった中で最近取り上げられているのが、外国人による土地取得規制の件です
基本的に日本では外国人による土地取得に関しては、規制がありません
そして日本(特に都市部)の不動産価格はインフレし続けていますが、世界のメガシティに比べるとまだまだ割安らしいので海外の投資家等がタワマン等を投資目的で買い漁っています
そしてそれがさらにインフレを呼んで、とても平均的な日本人では買えない値段になってしまいました(日本人の給料がここ30年上がっていなかったのが根本的な問題なのですが)
その事を問題視して、外国人による土地取得に規制をかけようとする動きが出てきました
海外でこういう規制をかけている国もあり、シンガポールでは外国人が土地取得する場合は印紙税として60%課税されますし、カナダでは外国人による土地取得を禁止しています
またアメリカやイギリス、フランス等では安全保障上で支障のある地域に関しては土地取得が出来ないようになっています
そして中国では土地は基本的に全て国有なので、購入は出来ず使用権のみしか取得できません
さらに外国人の場合は現地の中国人パートナー・合弁という形で共同名義のみでの取得しか出来ません
こういった規制を日本もかけて、日本人が買いやすくするようにしようと言う事です
最初に書いた様な日本人ファーストの世論にも押されて注目を浴びていますが、実際はなかなか難しい問題も多いと思います
まず本当に外国人に課税なりの規制をかけてしまうと、投資目的な人達は特に購入を躊躇する様になり、結果マンション等の価格は下落するかもしれません
そうすれば確かに今、住居の購入を考えている人にとってはいいかもしれませんが、それを売り買いする不動産業者や建築業界、不動産投資家等は軒並み被害を被る事になります
減収・倒産・撤退という事にもなりますし、その原因が法規制だった場合に国が補填出来るかと言うとそれも税金なのでそう簡単にはいきません
またすでに購入して高いローンを頑張って払っている人からしても、たまったものではありません
なので実際に施行されるのにはかなり高いハードルがあります
そしてこの日本人ファーストの考えですが骨董業界に関してはどうかと考えると、例えば日本の美術品・工芸品を日本人が買いやすいように、または海外に流失しないように海外のバイヤーが購入する場合は課税などの規制をするという事をしたらどうなるかと考えると、とてもこの業界は立ち行かなくなると思います
まず彼らの購買力が弱れば、全体的な相場も下がりますし、そうすれば当社の様な買取業者の売上も下がります
それにつれてお客様に提示できる買取金額も下がってしまいます
結果この業界自体が縮小していきます
一部の日本人骨董商にとってはメリットもあるかもしれませんが、全体的にはマイナスの方が圧倒的に多いと思います
それぐらい今の骨董リサイクル業界は、中国人や東南アジアの業者に支えられています
十数年前にはそういう状況を苦々しく思っていた人間もいたかもしれませんが、今はそんな事を考える人すらいないと思います
ただし今は彼らの経済力を上手く利用している感じになっていますが、そのうちに例えば業者市場等も外国資本に買われて、中国人が運営する所に日本人が参加させてもらう様になっていくかもしれません
そして気がついた時には緩やかに日本人は排除されていって、日本の骨董業界は外国人が全てを仕切るような未来もまるで無い事ではないと思います
そう考えると何らかの規制は必要かもしれませんが、先々の人口減や品物自体の減少を考えますとこれからも彼らの力を借りていかなければならないのが現状だと思います