骨董屋のリスクは上昇し続けている

骨董リサイクル業界というのは昔に比べれば少しは情報も広まってきたかもしれませんが、まだまだ閉鎖的な部分があります
そしてその骨董リサイクル業界にいる人間からしてみると、今この業界は活況を呈しているように感じます
新規で新しい業者市場もどんどん出来ていますし、各市場に集まる荷物も増えていますし、売上高も上がっていると思います
個人的な予想ではコロナ禍の辺りからきっとこの業界は少しづつ衰退してきて、業界市場もいくつか淘汰されるのではないかと思っていたのですが、見事に外れてむしろ増えています
その原因として考えられるのが、ブランド貴金属をメインとしてきた大手業者が骨董リサイクルにも力を入れてきた事や、既存の骨董買取業者がテレビCMを流したり(昔では考えられない事です)して世間に認知度も広がり、今まで捨てられていた品物が捨てられず買い取られて、この業界に流れてくるようになり、それを既存の骨董屋だけでなく中国や東南アジアの業者が豊富な資金力を武器に競り合って買ってくれるので、ますます品物は集まるようになります
こうしてみるとこの業界は順調に成長している様に見えますし、実際大きな利益を上げている業者も多いと思います
ただし当社も当事者として感じている事は、全体的に骨董業界はリスクが上昇しているように感じます
そもそもこの業界に限らずインフレは続いていて、人件費・家賃・ガソリン代などは上がっていますし、税金も厳しいです
さらに買取業者が増えていて、競争も激しくなっていますし特に大手業者の資金力は桁違いで、個人レベルでは真っ向勝負しては太刀打ち出来ません
上場している企業は株主から何十億何百億と集めて、それで資金を動かしているのでそもそも同じ土俵には立てません
とは言っても何も手を打たなければそういった業者に淘汰されてしまうので、出来る範囲で投資をしながら頭はフル回転させて生き残って行かなければなりませんが、実際に昔のやり方のままで、アップデートせずに苦労している業者も少なくありません
この様な状況ですので、お客様から問い合わせをいただくのにかかる経費(広告費など)は大手に引きずられる形で上がっていると思います
つまり一つの仕事にたどり着くまでのコストが上がっているという事です
さらにこれだけ業者が増えていますし、お客様自身で今はネットからある程度の情報(相場も含めて)は集められますし、メルカリのように自分で売れるツールもある時代です
しっかりと査定して買取金額を出さなければ、買取は成立しません(二束三文で買取など出来ません)
そしてしっかりとした値段で買わないと、リピートや紹介に繋がりません
ここがあるかないかが規模の大きくない業者が生き残れるかどうかに大きな影響を与えます
こうしてみるとやはりトータル的に昔に比べると、仕事をしていく上でのコストは上がってきていますし、それはつまりリスクが高まっているという事だと言えます
そしてそれは骨董品買取業者だけではなく、業者市場にて仕入れている骨董屋にも言えます
当社も7-8年くらい前までは買取もしながら業者市場でも様々な品物を仕入れていましたが、その頃に比べて格段に業者も増えて、落札金額もどんどん高くなっています
例えば以前は一ヶ月で50万円分仕入れれば、それを細かく売れば100万円位になって経費を差し引いても30万円くらいは利益がでて食べては行ける様な感じでした
ところが今は50万円の利益を出すために、倍の100万円は仕入れなければならなくて、当然売る仕事量も増えるので労働時間は増えますし、明らかに前よりも厳しくなってきています
それでも間違いなく言えるのは、そんな状況の中でも買い続けなければ食べていけないという事です
そこに中国人なども参戦してきますので、ますます競争は激化していきます
もちろんそういう状況なので(品物が高く売れる)ますます品物が集まるようになり活気が出てきます
こうしてみると良い事の方が多いように見えますが、やはり実際にプレイヤーの立場からすると特に規模の大きくない業者が、少しづつ確実に厳しくなって来ている気がします
これまでこの業界は入ってきてすぐに駄目になる業者は多いですが、ある程度生き残った人(会社)は生き残っていける業界だったように感じていましたが、それが通用しない時代になってきています
例えば飲食業界の様に10年続くのは1割という話と比べると、大分楽だったと思いますがこれからは同じ様な感じになっていくような気がします
なので当社も考え方も変えて他社との差別化や、当社が役に立てるお客様にしっかりとアプローチ出来るような戦略を練っていかなければなりません
当たり前の話ですが同じ事をしていると規模と資金力が大きい方が有利なのは間違いありません
さらにリピート・紹介を増やせるように、しっかりとした買取価格と丁寧な対応を心がけて頑張って行こうと思います