「貧すれば鈍する」にならないように 骨董の世界でも

2024-07-08

  • 買取業界の事情

「貧すれば鈍する」という言葉は貧乏をすると、精神の働きまで愚純になるという意味になります

つまり日々の生活や商売において上手くいかないと、頭も回らなくなったり判断ミスをしたりしてどんどん苦しくなって、ついには周りに対して信用を失うような行動・言動をしてしまう様になってしまいます

骨董業界においてももちろん成功する人ばかりではなく、上手くいかない人もいます

業界自体もバブル期以降は全体的に斜陽産業と言われていますし、昔のように大体の人が余裕で食べれていた様な時代ではありません

正直努力していない人は淘汰されていきますし、努力していても頭とお金の使い方を誤ると、なかなか上手くいかない時代です

そんな時代・業界ですのでタイトルにあるような「貧すれば鈍する」という状態に私もなりかけた事もありますし、そうなっていった人を見たこともあります

自分の事ですと、この業界に入ってから数年して店を持ち始めた辺りは結構厳しかったです

知識も経験もお金もなかったので、今思えばずいぶんとピントのズレた事もしていました

なかなか上手くいかないので、どんどんネガティブになっていって失敗を恐れて行動が出来なくなったり、そもそもお金も少ないので大した仕入れも投資も出来なくて成長もなく、愚痴ばかり言っていた気がします

さすがにこのままではやばいと思い、やみくもに仕入れたりするのをやめて生き残るため色々なジャンルをしっかりと調べたり、他の人が買ったもの売ったものを覚えたりして知識を蓄積しつつ、お金はなかったですけど若く独身だったためそこは仕事量でカバーして、年間360日朝から晩まで働いて少しずつ資金を貯めていきました

またギリギリで踏ん張っていたときに前職の頃からの知り合いや、この業界で知り合った人にサポートしてもらったりして、何とか生き延びる事が出来ました

今思い出してもあの時、簡単に諦めなくて良かったと思います

そうして少しづつ結果が出てくるようになると、会社の資金的に少し余裕が出てきて買取が続いたり、高額な買取が入っても焦らずに対応できるようになり、不思議なものでそういう余裕が出てくるとお客様にも伝わるのか、もしくは査定が適正になってくるのか成約率も上がるようになりました

そう考えると不当に安く買おうとする業者や、逆に仕事が少なくて無理して高く買いすぎる業者、贋物を騙されて高く買ってしまう業者などは余裕がないのが原因の場合が多いと思います

当社も騙されたりした事はありませんが、焦って高く買って損したりはありました

それも今思えばいい経験としてあきらめる事も出来ていますが、当時は本当に落ち込みました

それでもそういう事も乗り越えつつ、人も車も店舗も急拡大ではないですが少しづつ増えてきて、集客にかける予算も増やせるようになり仕事量もありがたい事に堅調に推移しています

もちろん常に右肩上がりではありませんが、長いスパンで見るとそこそこ成長できている実感はあります

これを維持できればこれからもお客様・従業員ともに満足してもらえる支払いができると思います

またある程度余裕が出来れば、多少の損も受け入れられるようになります

例えばお客様や業者市場で高く買いすぎてしまったり、売れると思っていた品物がなかなか売れずに塩漬けになってしまっても、次の仕入れに影響は出ないですし、塩漬けのものはなるべく早く損切り出来たりできます

そうしていかないと在庫ばかり増えて、いい品物があっても仕入れが出来なくなってしまいます

とにかくこの商売をする事においては、やはりある程度の資金的な余裕がなければ難しいです

業界から消えていく人はもちろんですが、それ以外で何かしらの不正をしてしまったり、周りに無理難題を押し付けたりする人は大体お尻に火がついている人が厳しいですがほとんどです

ですので今後もお客様にも安心して満足いただくためにも健全経営を心掛けて、無駄な浪費や身の丈に合わない急拡大などはしない様にしていこうと思っています

 

 

ブログ一覧へ戻る