福島第一原発の処理水の海洋放出が8月24日に始まりました
汚染水対策の一環で国際基準を下回るトリチウム濃度に薄めた処理水を放出したのですが、この放出は少なくとも三十年は続くものと見られています
そして大きなニュースにもなっているのでご存知だと思いますが、国内より海外特に中国の反発が大きかったです
中国政府は日本の海産物の輸入全面停止を決め、国民レベルでも旅行予約のキャンセルやイタズラ電話などが問題になっています
国際基準に則った行為をここまで批判するのは個人的にはどうかと思いますが、その裏には色々な思惑があるのでしょう
そしてニュースでも取り上げられていますが日本の海産物の20%強が中国行きで、20%弱が香港行きとなっています
少なくても20%以上の売上が0になってしまうので影響は甚大だと思います
その額は800億円以上とも言われています
もちろんその分を別の国に輸出したり日本国内で売なるなどという対応はするとは思いますが、この量となるとなかなか難しいのではないでしょうか
ネットなど見ると「美味しいホタテなどが安く食べられるチャンス」とか「これからは国内で消費すればいいじゃん」などと書かれていたりしますがそんな簡単な話ではありません
なぜ中国や香港に海産物がこれほど行くかというと、やはり日本人より高い値をつけてくれるからという事になります
特に高級魚などは最近香港や上海等に行ってしまい、日本では一部の富裕層以外はなかなか食べられないようになっていました
それを日本国内ですべて同じ価格で消費できるかといえばなかなか難しいと思います
これはここ数年の古物業界でも同じ、もしくはそれ以上になっています
中国美術は元々そうですが、日本国内で売れる美術品やネット商材、アンティーク家具等を除いた、それ以外の工芸品や贈答品など根こそぎ中国人バイヤーが買い漁っていました
その影響で業者市場で仕入れて骨董市などで売っていた露天商等は仕入れが難しくなったり、経験三十年の茶道具商がほとんど知識のない中国人バイヤーに競り負けたりするようになったりしていました
それでも相場が高値で安定していたので、業者市場や売り人等にとってはプチバブルのような状態が続いていました
それがもともと中国経済の停滞から相場が緩やかに下がりつつありましたが、今回の処理水問題で一気にバブルが弾ける可能性が出てきました
情報が錯綜しているので正確ではありませんが、日本からの船便は入国前にシップバックされてしまったという話がよく聞くようになりました
つまり日本で集めてコンテナに積んだ古物品が、中国国内の税関を通れなく港に停まっていた所、日本に戻され始めたという事です
そうなると今までのような仕入れは当然難しくなります、今の所は日本国内のヤードに貯めて行くみたいですけどそれも限界はあるでしょう
そして資金力のないところは早々に撤退する事になります
処理水に関してはさっきも書いたように、少なくても三十年は続くとの事なのですぐに解決するのは難しいかもしれません
もちろん三十年も続くとは思いませんし、どこかで着地点を見出すとは思いますが、先行きは不透明です
また中国経済自体も悪いニュースが度々報じられていて、悪い方向に色々な事が進むとそうすると確実にバブルは崩壊してしまいます
過去にこのブログで何度か書いたように今、古物業界は相当なレベルで中国依存しています
それはおそらく水産業者の比ではないと思います
ここ十数年で中国美術で成功した美術商、古物市場、買取業者、ネットオークション業者(ネットオークションも落札者の多くは中国代行業者)などもれなく大打撃を受けます
今回の処理水問題はその引き金になるかもしれません
そして当社のような買取業者の場合、業者市場やネット販売などの売上が落ちてしまう事が考えられ、そうするとお客様から買取させていただく時の買取額もどうしても下がってしまいますし、場合によっては今までは買取出来た品物が買取できなくなったり、事前の情報で今までだったら出張出来たものがお断りするような事になってしまうかもしれません(ガソリンなどの経費はどんどん上がっています)
お客様になるべく捨てさせずし、買取を増やしていきたいと思っている当社にとっては本当に苦渋の決断になりますし、なんとか避けたいとは思っていますが、やはり限界はあります
この状況がどうなるかは常にアンテナを張りながら注視していくしか出来ませんが(なんだか政治家のような言い方ですが)、かなりのピンチに業界自体がなる可能性は高いと思います
もちろん色々と手は打っていきますが、一業者の当社の努力で何とかなる問題では残念ながらありません
今後この動向はまたこのブログなどで書きたいと思いますが、今の所買取査定は今まで通り行っていきますのでお問い合わせよろしくお願いいたします