古美術業界から見る日本の国力の低下

2021-04-04

  • 業者市場

今回は少し残念なお話です。

ここ数年、業者市場に参加していて痛感する事ですが、日本の国力は日に日に落ちてきているなぁという事です

まず業者市場も大きく2種類ありまして、古美術中心の骨董市場と新しめの家具や家電、雑貨などが中心のリサイクル市場があります

当社は骨董市場をメインとしていますが、買取した品物を売却する際に月に1、2度はリサイクル市場も参加しています

そして骨董市場では中国人バイヤーが、リサイクル市場ではタイやフィリピンなどの東南アジアバイヤーが品物の多くを買い占めています

特にリサイクル市場に関しては東南アジアのバイヤーがいなければ、市場を始められない位影響力が大きいです

ネットなどで売れるデザイナーズ家具以外の大型家具(婚礼ダンスや食器棚など)はほとんど国内では需要がなく、海外需要がなければほぼゴミとして処分されてしまいます

また、家具以外の雑貨や贈答品も物余りの日本ではほとんど値段がつきませんが、まだまだ需要が高く経済成長を続けている東南アジアでは人気が高くなかなか高い値段で取引されています

話を聞くとタイやフィリピンではまだまだメイド・イン・ジャパンのブランド力は強くて、普通の食器や花瓶でもよく売れるみたいです

当社も家具や贈答品類をお客様から買取できるのはこういった海外需要があるからできるので、これが止まってしまったときの事を考えると非常に怖いです

おそらく日本のリサイクル需要規模から考えると、ほとんどの物が買取引取対応できなくなってしまう事でしょう

骨董市場では圧倒的に中国人バイヤーを中心に動いています

中国美術品を中心に、洋酒・桐箱に入った贈答品・花瓶・掛軸・装飾品など高額品はほとんど買い占めてしまっています

業者市場自体の運営や売り人の業者にとってもいなくては成り立たなくなっています

東南アジアバイヤーにしても中国人バイヤーにしてもとにかく日本人とは勢いが違います。「品物さえあればいくらでも売れる、今稼がないでいつ稼ぐの?」こんな台詞を吐ける日本人は今ほとんどいません

残念ですがこれが現実です。バブルの頃の日本はこれ以上だったみたいですが、今は見る影もありません

日本の古物業者で利益を出している人はほとんどが海外需要の波に乗っていると言っていいでしょう

当社も時流の流れはしっかりと見極めながら、お客様のお荷物の売り先をちゃんと仕分けられるようにして他社よりも高く評価できたり、他社が引き取れないものを引き取ったり出来るようにしていきたいです

しかし日本/日本人の衰退は市場に参加してから15年ほど経ちますが、年々確実に進んで来ています

何とか国内の需要も回復してもらいたいですが、なかなか世の中の景気を考えると難しそうです

我慢は続きます

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