円安が骨董業界に与える影響と未来

2022-07-21

  • 業者市場

日本の円安が止まりません

諸外国の通貨に対して日本円だけが、一人負けしている状況が続いています

3月まで1ドル115円だったのが今は140円近くまでになっています

ちなみに人民元も17円だったのが今は20円超えています

つまり海外で商売をしている人にとって日本の品物が、たった3か月で2割引きで買える計算になります

当然骨董品の価格も外国人にとっては随分割安に感じていると思います

特に中国人にとってはもともと国力の増大もあって、明らかに日本の骨董業界でも存在感を強めていましたが最近は円安がそれに拍車をかけています

何しろ2年前と比べると為替で3~4割は安くなっていますので、今まで以上に業者市場でも買えるようになっています

そして買えるジャンルも価格帯も幅広くなってきていて、昔は日本人では買わないようなレベルの低い品物を買っていた感じもありましたが、最近はそういう物も買いながら高額なブランド食器や有名作家の工芸品・西洋アンティークなど、高価な物も日本人では太刀打ちできないような値段で競り落としています

実際にそのあおりを受けて、業者市場でほとんど買えなくなって長年通っていたのに来なくなってしまった日本人の業者も出てきました

その穴は中国人が埋めるので業者市場の参加人数は変わらないのですが、中国人比率は上がる一方です

そして各市場で買い頭(その市場で一番買う人)も日本人から中国人になってきています、日本で行われている日本の業者市場なのにです

また中国人比率が上がる事によって業者市場の雰囲気も変わってきています。以前はよく言えば和やかで仲間内で売る人も買う人もなあなあな感じもありましたが、いまは大分ビジネスライクになって来ている気がします

そして安い物から高い物まで、まんべんなく買っていくのでもはや業者市場は中国人抜きでは成り立たなくなっています

業者市場で日本人が生き残っていくには、ピンポイントで日本人のコレクターのいるマニア向けの物(ネットオークションで高く売れるもの)を買える知識を持っているか、中国人が手を出さないジャンル(古家具やレコード・日本画など)を扱うかしかなくなっていく気がします

当社のように業者市場で買うだけではなく、売る事もする業者にとっては売る相手の比率が日本人から中国人に移っただけで、相場が下がるわけでなくむしろ中国人の業者同士で競り合って高くなることもあるので結果、お客様からもしっかりと買えるようになっています

特に昔だったらほとんど値がつかなかった贈答品だったり、無名な作家物なども今ならしっかりと買えると思います

ただし、この状況が続くと間違いなく骨董業界も空洞化が起きるでしょう

まず中国人の台頭を受けて品物を買えなくなった、骨董市などに出店している露天商などは仕入れが難しくなって最悪、商売が成り立たなくなってしまいます

また、ネットオークションで比較的リーズナブルな茶道具や洋食器などを売っていた人たちも厳しくなっています

そういったものも中国人が売値に近い金額で業者市場で買ってしまうからです

そうなると日本人の業者が少なくなり、品物は国内から海外にどんどん流失してしまって(まさにバブルの頃の逆の状況になっています)日本国内にある品物が無くなって中国人がいなくなってしまったら…

この業界自体が成り立たなくなってしまうでしょう

考えるだけで恐ろしい時代になるかもしれません

 

 

ブログ一覧へ戻る