自分で売れる時代の、買取業者のするべき仕事

ヤフオクが日本で誕生したのが1999年と四半世紀が経ち、メルカリは2013年スタートなので12年ほど経ちました
それ以前もホームページからのネット販売もありましたが、業者以外の人がホームページを作って販売する事は現実的ではなく、こういったプラットフォームが出来てからいわゆるc to c(消費者間取引)が浸透する様になりました
特にメルカリが出来てからその傾向は強く、業者じゃない一般の知り合いの口からも当たり前の様にメルカリで売った買ったという話を聞きます
また業者にしてもヤフオク・メルカリを全く利用していないという人はかなりの少数派で、むしろこれらのサイトのみで売り上げている業者の方が多い位です
もしこういうプラットフォームがなくなってしまったら(まぁなくなっても類似の物ができると思いますが)廃業せざるを得ない業者が多数出てくると思います
それくらい依存度は高いです
当社ももちろんネット向けの商材はネットにて販売しますが、売上規模は全体の20−25%位にしていてあまり依存し過ぎないようにしています
そうしないと手数料などが上がった場合や、利用停止になった場合などのリスクを分散出来ません
後は売り先がネットだけになっては、お客様から買い取れる品物が限定されてしまって、役に立てることが少なくなってしまいます
そもそもそれではただの代行業者のようなもので、自分で売れる時代にはあっさり淘汰されてしまいます
そして先程書いた様に一般の方たちも、多くの人がメルカリなどを利用する様になると、当然ですが断捨離や遺品整理などの時にも自分達で売る人も増えてきます
つまり前だったらこういう時に呼んで貰えていたのに、呼ばれなくなり需要がなくなっていくという事です
そしてその状況を加速させているのが、生成AIによるアプリになります
これは私も常に使っているので実感しているのですが、その進化の度合いがまさに日進月歩という感じで、その使いやすさや精度はかなりのレベルになっています
昔からの業者の多くはスマホなんかに頼らずに、自分の目利きのみで仕事しなければならない
お客様の前でスマホを出す事自体駄目だ、という考え方の方が多いです、そうはいっても世の中にある全ての品物の価値や相場が全て頭に入っている人はいませんし(もちろん1ジャンルだけでしたら頭に入ってる人もいると思いますが例茶道具・カメラ)そういう人ほど自分の知らない品物に関しては凄く安く査定したりしています(損しないように)
もちろん知識や相場を常にアップデートして、いわゆる目利きになる努力を怠ってはいけませんが、その上でわからない点に関しては信頼できる同業者やアプリなども駆使する方が、お客様の為にも自分達の為にも有益だと思います
この様に色々な環境が整っている時代に、買取業者の仕事でより重要になってくると、当社が考えた事が何点かあります
まず一つが骨董品の中でも調べやすい作家者やブランド品などではない、一点もの古美術品や真贋の問われるものなどをしっかりと査定するという事です
この辺は未だアプリなどでも調べる事が困難ですし、真贋に関しても同じです
もしこの辺もアプリで瞬時にわかるようになってしまったら、本当に骨董屋・買取業者の仕事は大きく変わでしょう(怖いですがそれほど遠い未来ではないかもしれません)
しかしまだ今の所そこまでは至っていなく、わからないものを取りあえず適当に値段をつけて、メルカリにて安く出品してしまうケースもかなり多いみたいです
ブランド品などと違い過去の履歴もないような物は、相場もわからないために例えば50万円位価値のあるものを、1万円位で売ってしまう様な事をしてしまったりします
この場合は業者の買取価格の方が遥かに高くなったりします
後は真贋に関しても、特に古美術品などはネットオークションなどではあまり信用されない場合も多く、不当に安く(本来はしっかりと評価されるべき品物であっても)落札されてしまったりします
こういった時は骨董品の買取業者に査定買取した場合のほうが、良い結果になる事が多いと思います
次に時間がなくて自分達で整理したり売ったりする事が出来ない時です
急に家の売却が決まったり、普段仕事が忙しくて整理がほとんど手がつかなかったりという現場も意外と多いです
電話で「今週末に全て回収する事が決まっているから、今日明日で来れますか?」という様な問い合わせもあります
こういう問い合わせにもなるべく対応出来るように、当社は車・倉庫・スタッフ(外注も含む)を準備しています
そうしないと価値のある品物までゴミとして処分されてしまいます
ギリギリでも呼んでいただいた期待には応えたいですし、こういう時ほど評価出来る品物があったりします
前にブログでも書いたようにこの仕事をしていて一番残念なのは「それがそんなに売れるの?他にも沢山あったけどは全部捨てちゃったわよ」という様な話を聞くことです
まだ他の業者に売ったのであれば、その品物はまだ生き残りますが捨ててしまっては本当になくなってしまいます
ある意味それを防ぐのが当社の様な買取業者の一番の仕事だと思っています
そして3番目は一般の方では売るのがなかなか難しい大型の品物や、物置や屋根裏などから下ろしたり動かしたりする事が困難な場合です
こういった品物は出荷する事も難しいですし、写真を撮る事自体大変です
特に解体前の電気も通っていない状況だと時期によっては熱中症になったり、運ぶ時などに怪我したりするケースも少なくありません
こういう時にはやはり慣れた業者を使った方が、安全にスムーズに進むと思います
当社は大型家具も対応しますし(骨董品専門業者は扱わない所も多いです)ゴミ屋敷であっても慣れているので気にしないで結構です
そして最後に思うのが、本当の名品です
例えば作家物などで相場が五万円程の品物はネットでもしっかり売れると思いますが、例えば中国の掛軸で本物だったら1000万円位するものを一般の方がネットオークションに出品しても真贋の部分で信用されなくて、50万円程で落札されてしまったりします
またこういった物を買う中国人富裕層などは意外とネットオークションなどは見ていない事が多く、そういう人に直接向けるルートに載せないと正当な評価を受ける事は難しいです
もちろんお手元にある品物が、そういった名品であるかどうかは一般の方ではなかなか見抜けるのは難しいと思います
ですので自分で調べてもまるでわからなかったり、古そうだったり(祖父祖母もしくはそれ以前の先祖が持っていたものとか、軍人の祖父が持って帰ったものなど)したものは一度骨董品買取業者に問い合わせて見た方がいいと思います
この様に確かに自分で売れる時代にはなってきていますが、そうはいっても業者が必要な場面もまだまだあると思いますので、ぜひ整理の際はお問い合わせください
また当社もここで書いた様な場面でしっかりと期待に応えられるようにしていかなければなりません
そうしないとこれから生き残って行くのは至難の業だと思っています