円安と円高 普段の生活にとって 骨董業界にとって

2025-02-24

  • 買取業界の事情

ここ最近はずっと円安が続いています

長らく1ドル100−120円の間を変動していましたが、2022年の春頃から円安になり始め、2024年前半に160円位にまで円は安くなりました

ちなみに近年で一番円が高かったのが2011年、東日本震災が起こった頃で75円台まで上昇していました

単純に半分以下のレートになった事になります

これは外国人からしたら本当に安く、お買い得になったと思います

これを日本人の視点から見てみると、多く人にとってはメリットよりもデメリットの方が大きいと思います

食料品の7割以上、エネルギーの8割以上を輸入に頼っている日本にとって、円安はまさに物価高騰に直結します

ガソリン価格・光熱費・食料品すべてがここ数年わかりやすく上がっており、多少の賃上げがあってもそれ以外の物価高で、実質賃金は下がり続けています

当たり前ですが生活は厳しくなっていきます

確かにスーパーの値段、光熱費、ガソリン価格どれもここ最近特に高くて、同じ生活をしていても支出はどんどん増えていきます

当然みんな節約を始めるので、国内経済は活性化しません

また海外旅行も割高になって、なかなか気軽に行けるものではなくなってしまいました

逆にメリットを享受できる人は外貨や海外資産をたくさん持っている人や、輸出企業に従事している人、インバウンドの恩恵を受ける人などに限定されます

そしてそういう流れを感じてか、NISAを利用している人達もオルカンやSP500など海外株式を買う人が増えているみたいです

こうして円で海外の株式や外貨を買うことが、また円安が進む要因にもなります

逆に円高になった場合ですが、この方が円安の逆で食料品やエネルギー価格が下がるので、物価の上昇が抑えられてとりあえず生活は少し楽になると思います

実際5年前はレギュラーガソリンは大体120円ほどで、今よりも50円は安かったです

毎日車に乗る郊外の人たちにとっては、かなり助かると思います

ただしやはりさっきの逆で、海外資産を持っている人や輸出企業に従事している人、インバウンドの恩恵を受けている人にはマイナスになってしまいますが、トータルでみるとプラスの方が大きいと思います

ただしミクロの視点で見るとそうなりますが、マクロで見るとまた違ったものになります

例えば円安で食料品や海外製品が安くなると、確かに助かりますがその分国内生産の商品も安くしなければならないので、国内で商売をする企業は利益が出しづらくなり、結果給料も上がらなくなってしまいます

また円高になると工場などの海外移転が進んで、国内の空洞化および雇用の減少が進み、さらに円高だと海外からの働き手が増えて、ますます賃金が上がらなくなってしまいます

それが円安になれば国内回帰が進み、雇用も増えれば人手不足も相まり賃金上昇も継続されます

もちろん急激な物価高は大変ですが、それを国がサポートして乗り切れればいいのではないかという意見もあります

たしかにバブルの頃でも1ドル180−200円ほどでしたし、それでも日本人は海外旅行にバンバン行って色々な品物を国内でも海外でもたくさん買っていました(この頃の品物のお陰で当社などは商売が成り立っているといっても過言ではありません)

つまりこの円安でも問題ないような経済力がつけば良いという事です(もちろんこれが一番難しいのですが)

そしてこの円安の状況が骨董・リサイクル業界にとってどの様な影響があるかという事ですが、ここ10年以上は何度もブログに書いていますが、日本の骨董・リサイクル業界は中国や東南アジアの業者を中心に回っています

業者市場は彼ら無しでは成り立たなくなっていますし、インターネットオークションも落札者の多くは海外からの注文に対応する代行業者になっています

当然ですが円安になれば割安になって、購買意欲が活性化して相場は上がっていきます

もちろん中国経済の衰退などで、中国向けの品物などは前よりも安くなっているものはありますが、トータルで見ると購入量・額はやはり日本人を上回っている気がします

また美術品全般にいえる事ですが、やはり日本人しか評価のしないものは例えばバブルの頃に比べると、それこそ数分の1〜数十分の1になったりしていますが、海外需要のあるものは相場が上がったりしています(浮世絵や世界的に評価されている作家作品など)

だから円高に振れると、彼らの購買意欲が弱くなり相場が下がったり、売れてたものが売れなくなったりしてしまいます

その分日本人が高く買えるようになるかというと、おそらくそうはならなくて、むしろ骨董市などに来てたくさん買ってくれる外国人が少なくなったり、インターネットでもあまり売れなくなったりして、全体的に相場は下がると思います

そうなると当社にとっても、お客様から買取をする時の金額は安くなってしまいますし、今なら買い取れても相場が下がり過ぎたり、買い手がいなくなったりして、買えなくなってしまう事も増えてきてしまいます

こうして見ると、もちろん極端なのは良くないとは思いますが、骨董・リサイクル業界にとってはある程度の円安基調の方がメリットが大きいと思います

もちろん円高になっても生き残っていけるように、基盤をしっかりして柔軟に対応していけるようにしていかなければなりません

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