私が子供の頃(今40代)家具は高いものだという認識がありました
薄っすらとした記憶ですが、実家が食器棚や洋服タンスを新品で買っていた時、一点十数万したとか聞いた気がします(それほど裕福な家ではなかったので、月賦でとか言っていたような)
もちろんデパートや高級家具店で買えばもっと高かったでしょうし、普段使いの食器類も昔はそれなりの値段はしていました
それから数十年経ち、家具も食器も安いものを選べば本当に安く買えるようになりました
ダイニングセットや食器棚も五万くらいから新品で買えるようになり、食器もそこそこのデザインの良い物が100均でも手に入る時代です
もちろんこれはそういう需要があり、その需要に応えるために各企業が多大な企業努力を積み重ねた結果です
そういったメーカーが成長しているという事は時代にあっていることですし、素晴らしいと素直に思います
確かに消費者の立場になるとそこそこのクオリティでリーズナブルに買えるのはありがたいし、実際に私も何点か購入した事があります
ただし実際に購入して思うのは新品で買って使い潰すのはいいかもしれないけど、リサイクルするのは難しいなぁという事
そもそも新品での値段が安いので中古になった時に、ビジネスになるような値段をつけられません
また知り合いのリサイクルショップやリサイクル系の買取業者に話を聞くと、年々ニトリやイケヤが増えてきていて、買取が難しくなっているらしいです
また家具や食器などの買取が難しくなったもうひとつの理由が、新品の価格が安くなってしまったのでそれ以外の元は高かった家具も中古だと売れなくなってしまったためです
昔は新品の値段が高かったので中古の需要もあったのですが、新品の値段が安くなってしまうとわざわざ少し安いからと言って中古を買うかというとそうはなりません
特に40代以下の人達は、一部インテリアにもお金をかけてデザイナー家具などを買う人もいますが、多くの人達はそこまでお金をかけられません
それは世の中が昔ほど景気が良くない事や税金・社会保障費が増えてきているのでなかなか余裕がないという事があるのでしょう
また生活スタイルが変わってきている事もあるかと思います
高価なものを長く使うというより、その時その時に合わせて必要なものを安く買うという人が増えている気がします
もちろんこれは洋服なども(ユニクロに代表されるように)そういう流れですし、カメラ・時計・オーディオなどもお金を掛けない人はすべてスマホ一台で済ませてしまいます
その比率がどんどん上がっていくと、当然古物の世界にも影響が出てきます
特にリサイクル系の業者は買取できるもの売れるものが少なくなりますし、売り買いする単価も少しづつ下がっていく事でしょう
もちろん物価高が続いて安いものに対する需要は強まっていくとは思いますが、家具や家電などはスペースも取りますし家賃などを考えると限界はあると思います
そして当社のような古美術骨董品の買取業者はどうかというと、実はそこまでは影響は無いかもしれません
もちろん全般的にデフレ(今はコスト高によるインフレが続いてますが)が続く事は良くはないですが、実はニ極化も同時進行しています
ニュースを見ていても日々現場を回っていても、格差が広がっているのは間違いなく、我々の業界でも希少なもの(マニアックでネットなどで人気の商材)や名品(国際的に評価の高いものなど)は前よりも相場が上がっており
株も金(GOLD)も相場は堅調ですし、コロナがあけて少し相場が下がったとはいえ高級時計はまだまだ高いですし、よく売れています
元々骨董品などは一部の富裕層が買うもので、バブルの頃などは大分層が広がったみたいですが(ここ十数年は中国が同じ様な状況でした)、名品の相場は下がっておらずむしろ上がっている位です
大事なのはこういった名品をしっかりと扱えるような体制(集客・査定・資金・接客)を取っていくという事になります
当社ももちろんまだ足りない点はあると思っていますが、必要な時は外部の専門家の力も借りながら質の高い品物を扱う量を増やしていきたいと思っています