骨董業界・買取業界で働く、若干の後ろめたさ

2025-02-27

  • 深沢美術店のこと

世の中の仕事には、貴賤はないと言います

確かに法に触れなければ、どんな仕事でも上も下もないと思いますし、需要があるからその仕事が存在しているのは間違いありません

昔のCMでもありましたが「世界は誰かの仕事でできている」というのは事実で、ありとあらゆる製品やサービスは誰かの手によって作られています

そういう意味でも当社の様な仕事も必要としてくれる人がいるから成り立っていますし、実際に喜んでいただける事もかなりあります

骨董屋とか買取業者というと一般的には「怪しい」とか「嘘くさい」というイメージを持つ人もいると思います

実際私も古物の免許を取って独立しようとした時に、親戚などから「お前はゴミ屋になるのか?」とか「そんなんで食べていけるのか?」などと言われたものでした

つまり世間の評価は、あまり高いものではありません

確かにこの業界もかなり閉鎖的で、今と違いネットもなく情報もほとんどなかった時代は、意図的に安く買い叩いたり高く売りつけたりした業者もいて、騙されたと感じる人も多かったと思います

そういう部分に関してはネットによって大分情報や相場が可視化されて、昔のやり方は通用しなくなり自然とクリーンになってきていると思います

なので未だに昔のやり方を続けている様な業者からは「最近はお客が賢くなって、駄目だよな」「昔は言い値で買えたのに」という声を聞いたりします

そういう業者は私の目から見ても、確実に淘汰されています

もちろん業界全体が100%誠実な対応で、適正な査定額で買取ったり相場を守った値付けで販売しているかというと、そこまでは言い切れませんが、だいぶ健全になっている事は間違いありません

なので私もこの業界や自分の仕事を卑下するつもりはありませんし、コツコツ真面目にやっていけば大儲けはできなくても、しっかりとビジネスとして成り立つ仕事だとは思っています

それでも同業者と飲んだ時に出た話で「俺達の仕事の意味って何かな〜と思ったりするんだよね」と言われて、確かにそうだなぁと思ったりもします

当社は買取もしますし、店舗を持ってアンティークショップも運営していますが、例えば第一次産業や医療・介護・インフラを守る人達や食品を扱う仕事をする人達のように、それに従事する人がいなかったらその日のうちに困る人がいるし、場合によっては命に関わる事にもなったりするほど重要な仕事とはいえません

つまりその仕事が儲かるとか儲からないとか関係なく、その仕事自体に価値がある仕事に比べると、我々の仕事はなくなってもそこまですぐに困る仕事ではなく、骨董屋やアンティークショップといった仕事は生活を少し豊かにする手伝いは出来ても、なければ本当の意味で困るかといえば、そうでもないかもしれません

なので比べた時に、仕事の意味とか価値などと言う所を考えたりしてしまいます

それも長くなってきて少し安定してくると感じてくる、ある意味で後ろめたさのような感じです(始めたころはそんな事など考える余裕もなく、必死に生き残っていくために休まず働くだけでしたが)

もちろん前提として自分の仕事にはやり甲斐は持っていますし、真面目に続けていこうとも思っています

それでもさらに意味を見出すためにも思うのは、お客様にしっかり対応して利益を上げて、従業員に不足ない給料を払い、そして納税をする(本音は高すぎると思いますが)という当たり前の事を続けていく事が大事だという事です

後は余裕があれば震災などの時に、会社として寄付をするようにしようと思っています

昨年の能登半島地震の時は大した額ではありませんが、義援金を送りました

今後もそれ位の事は定期的に出来るようにしていきたいと思っています

また、さっきも書いたように意外かもしれませんがお客様には結構喜ばれる事が多く、買取に関してだけでなく処分・整理のアドバイスなどもさせていただいて役に立っていると感じる時も少なくありません

結論としては真面目に仕事を続けて、役立つ回数(社内にもお客様にも)を増やしていくという事が大事で、それがこの仕事をしていく意味という事なんだと思います

 

 

 

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