「アマゾン」や「バイク王」の戦略と骨董業界の現状

2024-01-29

  • 深沢美術店のこと

これは有名な話ですがGAFAMの一角を占める「アマゾン」は創業してからずっと急成長を続けてきていますが、創業から20年ほどはほとんど利益を出していませんでした

もちろん売り上げは右肩上がりで伸びていきましたが、その利益のほとんどを様々な設備投資に使っていました

その結果、今では他社が全く追いつけない圧倒的なシェアを奪う事に成功しました(アメリカやヨーロッパではトップシェアですし、日本でも楽天を抜いて1位になりました、ただし中国では政治的な思惑もあり撤退してしまいました)

さらに今後は東南アジアなどの新興国でも売り上げは伸ばしていくでしょうから、ますます勢力は拡大していく事でしょう

同じ様なECサイトは他にもあったのでしょうが、他社の伸び率の数倍の成長によって今では揺るぎない王座に君臨しています

通常は利益が出てくると創業者が多額の報酬を取ったり、株主に配当したり、内部留保を積み上げたりするのですがそういう事を極力せずに成長に注力して、その結果ここ最近は高い利益を確保できるようになっています

つまり目先の利益を取らずに圧倒的なシェアを取れば、利益は後からいくらでもついてくるという考えだったのでしょう

似たような形で結果を出した企業が中古バイクの買取事業の「バイク王」になります

この会社に関しては私も前職(出版社・広告代理店の営業)で一時取引があったのでお話は色々聞いていましたが、「アマゾン」に考えが近く2人で創業してからしばらくは利益のほとんどを設備投資と広告費に使っていたようです

もともと私が仕事で取引があった20年ほど前にはすでに業界トップで、ボブ・サップを使ってテレビCMを流したりしていました

もちろんホンダやヤマハなど車両メーカーなどは別ですが、買取業者がタレントを使ってテレビCMを流すなど当時は考えられない事でした

この会社も創業した時は同じような規模やもう少し大きな規模の買取業者もありましたが、当時のバイク買取業者はバイク屋が少し買取に力を入れている程度のもので、あまり経営とか投資とか考えずにやっていたようです

ですので利益のほとんどを再投資していた「バイク王」は一気に拡大して、業界全体の30%以上のシェアを獲得して株式上場も果たし、その後も他の買取業者を買収したりオークション会社を経営したりと成長を続けて300億円規模の会社になりました

当たり前ですがこのように積極的に投資していれば必ず成功するという訳ではなく、実際広告費を使いすぎて倒産した脱毛クリニックのような例もあるので業界や他社や利益率など様々な状況が揃わなければ駄目だと思いますが、それでも多くのシェアを取る前に利益の多くを再投資に回すとそれだけ成長速度は速くなる可能性は高いと思います

その上で骨董品買取業界の話になりますが、もともと他の業界に比べて規模はそこまで大きくなく、長い間買取業者もほとんどが個人商店規模の所がほとんどで、そういった所でシェアを分け合っていました

広告宣伝も店舗にくるお客さんだったりネットが広まる前はタウンページ・チラシ・新聞広告くらいで、その後ネットが全盛になってウェブからの集客が出来るところが伸びるようになってきました

それでも10年前位までは小さな規模の業者がほとんどでしたが、徐々に利益の再投資を積極的に行ったりテレビなどをうまく使ってプロモーションしたりする業者が出てくるようになりました

またもともとブランド・貴金属で成功した大手企業(上場企業も含む)が圧倒的な資金力と人員を使って骨董品買取業界にも進出してきて多くのシェアを獲得しています

やはり芸能人を使ったり、テレビCMを使ったり上場企業だったりすると信用度も上がるみたいで個人商店レベルの業者が年々苦戦するようになっています

もちろん急拡大の弊害もあって、ブランド・貴金属以上に査定が難しい骨董品買取に関しては店舗を次々各駅に出店している業者などは、どうしても査定に新人を行かせなければならなくて本来価値のあるものを見落としたり(結果ゴミとして捨てられてしまう)相場よりもかなり安い査定をして信頼を失ったりという事もあります

ただしトータルで見るとやはり大手に仕事が流れていくのは、どの業界でも同じで今の状況などを見ていると「アマゾン」や「バイク王」のような圧倒的なシェアを持つ所は出なそうですが、数社~10社前後の大手買取業者が大半のシェアを獲得していくような気がします

そうなると個人商店レベルの業者は、当然今後淘汰されていく事になります

今でもその影響はありますが、それでも規模が小さければ年に数回高い利益の仕事があれば食べていく事が出来ていましたが、今後は依頼自体がほとんど無くなってしまって廃業に追い込まれてしまう所も増えてくるでしょう

厳しい時代ですが仕方ありません

そんな状況の中で当社としては大手のような規模にこれからなっていくのは無理ですし、そうなりたいとも正直思っていません

そうなると多少規模は大きくしたとしても、お客様の要望に応えられる必要なサイズのままで、個人商店レベルでも大手でもないサイズで適切な再投資をしていきある意味の隙間をしっかりと取っていこうと思っています

そのために当社のスタッフ・店舗・車・倉庫・広告などに投資しながら、これまでの中で培った信頼できる外部スタッフにも協力を得ながら営業していこうと思っています

あと今年は新しい試みにも挑戦しようかと思っていますので、それはこのブログなどで公表していきます

 

 

 

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