世の中にはいろいろな仕事があり、各業界によって成功するために必要なものは違うと思います
この業界で本格的に仕事を始めて15年過ごしてきた私が見てきた、骨董業界で成功している人達の特徴を書いてみようかと思います
①目利き
これは一番基本的な事ですが目利きでないとまず何も始まりません
しっかりとした知識もない状態だと贋物ばかり買ってしまったり、目利きの人に高くかわされたり、名品を逃したりとどんどん苦しくなって早かれ遅かれ業界からいなくなってしまいます
目利きの度合いも重要です、ネットで調べられる情報に毛の生えた程度ではいずれ淘汰されてしまいます
業者からも「あの人は専門家だ」「○○さん、これって贋物ですかね?」と認められたり、頼られたりするレベルでないと難しいです
また骨董業界の中でもどのジャンルでの目利きかによって稼ぎも大きく変わります
茶道具・中国美術・西洋アンティーク・民芸など同程度の目利きでもジャンルによって稼ぎは一桁も二桁も変わる事もあります
②度胸がある
骨董品の売買は時に数百万以上になる事も多々あります、そして業者同士が競り合うオークションでは目利きはもちろんですがその上で度胸も大事になってきます
競り合っている品物が鑑定書付きの現代作家の作品ならまだしも、古美術などは本物贋物のリスクもある中で数百万、数千万を競っているともし贋物なら失うものも莫大になります
普通の感覚ならビビッてやめてしまいますがそれを何も恐れずに(内心は違うかもしれませんが)競り合う人たちがいます
そういう人たちは実際に数百万損しても、次も怯むことなく自分を信じて競り合います
「そんなんでビビってたらこの仕事辞めた方がいいよ」そういう台詞も何度も聞きました
もちろんそういうタイプしかいないわけではなく、自分が確信した品物だけ損をしない安全な値段までしか競らない人たちもいます
こういう常識的な人たち(私は地球人と呼んでいます)とどんなに損しても何も感じないように常に戦い続ける人たち(宇宙人)ではこの業界では宇宙人の方が加速度的に伸びていっている気がします
3 資金力がある
これはどの業界でもそうだと思いますが、資金力はないよりもあった方が絶対的に有利です
まず失敗ができるし、失敗の回数が多くても耐えられます
その失敗(例えば贋物を高く買ってしまったり)も経験としてインプットされるし、もちろん成功も同じです
やはり誰よりも沢山買っている人、高い品物を買っている人は成長も早く大きな成功も収めやすいです
また競り合う時も軍資金が1000万円と5億円では目利きのレベルが一緒だったら話になりません
実際見ていると名品を競り合ってギリギリの所になるとやはり資金のある方が勝っている気がします
これは夢のない話のようですが、やはりお金持ちはどんどんお金持ちになっています
4 頭がいい
これはどんな仕事でも重要な事ですが、この業界で思うのは時流をしっかりと読めることが大事だと思います
どんなジャンルが人気が出ているのかこれから出そうか、業者市場の中心がどうなっているのか世の中の流れ(コロナ・円安・日本の景気・世界情勢など)が業界に与える影響などをしっかりと分析して行動が出来ている人は本当に瞬く間に大きくなっています
こういう人は別の業界でも成功しただろうなぁ思わせます
骨董業界はある意味、時代遅れな部分も多く残っていて出来る人からしたらいくらでもまだ勝機はあるのでしょう
私も他業種からの参入組ですが、確かに遅れているなあとか独特だなあと感じたことは多々ありました
なのでこの業界だけに染まらないで本・ネット・youtubeなどからも新しい情報を得るようにしています
5 体力がある
買取業務においても業者市場周りにしても、ベースになるのはやはり体力です
よく買取にお伺いした際に「思っていたよりずいぶんお若いんですね」と言われます
実際はそんなに若くないのですが(40代半ば)お客様は骨董品を扱っている人は60~70代くらいの人をイメージしているみたいでそのイメージに比べるとずいぶん若く感じるみたいです
しかし日々買取業務をこなしていて思うのは、この仕事は年を取ったらとてもできないなという事
暑い日・寒い日・雨の日関係なく、現場によっては大型の物や大量の品物を運び出さなくてはなりませんし買取らせていただいた品物も仕分けして店舗におろしたり、倉庫におろしたり、業者市場に持って行ったりと、とにかく体力勝負です
また業者市場も一か所だけでなく毎日のように開催されていて、それを回り長時間集中力を切らさず競りを行うのは体力がないとできません
なので競りの途中で帰ったり、サボったり、そもそも疲れて休んだりする人もいます
そんな事をせずに休まず・サボらず・集中している人はライバル不在で安く買えたり、名品に出会えたり得することが多いです
6 人を見る目がある
品物を見る目(目利き)ももちろん大事ですが、それと同じように人を見る目も重要だと思います
この業界は結構だます人がいて、愛想よく笑っていても全然違う事を考えている人や親切そうに近寄ってきて(特に新人に対して)恩を売っておいてその人が持っている名品を安く買ったり、嘘の情報を流して得しようとしたりする人もいます
そしてこの業界も派閥のようなものもあるので、どの人と仲良くするかによって成長できるかどうか左右される場合もあります
もちろん自分自身がしっかりと努力して実力をつけていれば問題ないのですが、それでも影響がないとは言えません
7 真面目
この仕事は自由な部分が多く、時間などに縛られなく全てを自分の裁量で決められます(もちろん当社のような買取業者はそういう訳にはいきません)なのでとても他の業界では生きていけないだろうなという人が結構います
業者市場を休んで遊びに行ったり、遅刻したり早く帰ったりそれでもたまに当てて優雅に生活したり、夢があると言えばありますがやはりこの業界でも伸びている人たちは総じて真面目です
市場は早く来て最後まで競りに張り付き、知らないことは年下にも聞いてアップデートしていき、いろいろな情報を吸収していくそういう人は大体成功しています
実際この業界は(金銭的に)働かなくてもいい人ほど良く働いています
おそらくもはや仕事の目的がお金ではなく自分の知識の答え合わせだったり、純粋に好きだからやっている感じがします
こうなるとますます強くなり、さらにそうでない人との格差は広がっていきます
8 ほどほどの狡さ
真面目と逆行するようですが、真面目だけではやっていけない部分も正直あります
前にも書いたようにこの業界にはだまそうとする人もいますし、競りに別の業者市場で失敗したものを知らないふりして出品する人もいます
そういう人に騙されないように疑ったり、逆に大きく儲けるために安く買う技術も必要だったりします
狡いだけの人は信用を失い相手にされなくなってしまいますが、基本真面目に仕事をして目利き信用がある人がたまにうまくやる
こういういい感じのずる賢さを持っている人は、成功している気がします
私が気づいたことをだらだら書きましたが、学べるところは学んで成長して生きたいと思っています