買取現場から見るバブルの残り香

2023-01-26

  • 買取業界の事情

日本におけるバブル期(バブル景気)というのは1986年~1991年までの約5年間を指します

当時私は小学生~中学生くらいだったのでいわゆるバブルを直接経験したことはありませんが、子供心に何となく景気の良さや国全体が自信に満ちていた空気を感じてました

学校の先生に「日本人は優秀だから、これからもどんどん成長していくよ」と言われたことはよく覚えています

その後の状況は言うまでもありませんが、特に最近暗いニュースが続いています

古美術の世界においてもバブル期はまさにバブルだったようで、茶道具・掛け軸・日本画・絵画etcとにかく何でも高く売れて、高いものほどよく売れるという状態だったみたいです

さらにインターネットもない時代だったので、相場も業者の強気な設定で通っていたらしいです

「昔は何でも売れた、今は何にも売れない」

この時代にいい思いをしてきた業者はよく言います

なので当時百貨店や古美術店で買った品物の価格は、世界でも一番高いものだったと思います

そしてそれらの品物の相場は今現在10分の1の価格を保っていればいい方だと思います

昔が高すぎたのか、今が安すぎるのかはわかりませんが

逆に言えば当時は今の十倍の価格で売れていたという事です

どんな商売も同じですが扱う量が同じなら、単価は高い方が利益は上がります

例えば今50万円で売れる油絵を30万円で買取りさせていただければ、20万円の利益ですが同じものが500万円で売れるのであれば300万円で買っても200万円の利益になります

もちろんそんなに単純な話ではありませんが、全般的に相場が今よりかなり高いので取引量が同じなら、はるかに利益は大きくなります

当社も日々買取させていただいて、仕分けしたうえで売却していますがたまに「昔だったら左うちわだったのにねえ」と言われたりします

でももしそうなっていたら怠けてしまいそうだし、余計なことにお金を使ってしまいそうです

なので努力して件数を回って、ほどほどに売り上げが上がる今ぐらいが丁度いいのかもしれません

ただし今後は今まで以上に厳しい状況になっていくと思うので、同じやり方だけでは駄目だと思っています

今後の作戦に関してはまた書くとして、今の当社の買取の結構なボリュームを占めているのがこのバブル期に買われていた品物になります

ヨーロッパ家具・アンティーク照明・人間国宝の壺・日本画・伊万里大皿・茶道具などなど

「昔だったら高かっただろうなあ」という品物がやはり多いです

もちろん品物は皆いいものばかりなのですが、なかなか今の評価は厳しいという所です

当たり前ですが今の相場でしか買取できないため、1点1点説明はするのですが特にご本人が買っている場合はなかなかご納得いただけない場合も多いです

そういう時は無理に買取しようとはしないで「一度ご検討ください」と言って帰るようにしています

やはり自分で高く買った品物を、その時に比べると大分安く手放すというのは抵抗があるでしょうし納得してもらってから売っていただいた方が双方いいと思っています

結局その後にご連絡いただいて成約する事も多いです

そしてバブル期の品物の特徴ですが、もちろん全部ではありませんが大きく派手な雰囲気のものが多い傾向があるような気がします

重厚で大き目なアンティーク家具・派手な柄の大皿大壺・色彩のある西洋アンティークなど、残念ながら今ではあまり人気のないものになっていますが何となく当時の世の中の勢いが感じられるような気がします

またこういっては失礼になりますが、高価なものばかりなのにまるで統一感がなくなってしまっている現場もたまにあります

でもフォローではないのですが何か今の時代にはないパワーを感じたりすることができて(ちなみに建物自体がこれ何億かかったんだろうという物件にも出会えます)そういう出会いができるのもこの仕事をしているからだと思って感謝しています

これからも感謝しながら、バブルの残り香を嗅いでいきたいと思っています

 

 

 

 

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