ネットやアプリに全く頼らない買取が正義なのか

2023-04-03

  • 深沢美術店のこと

昔からやっている骨董屋や買取業者がよく言うのが「最近のやつはお客の前ですぐに携帯出して調べるんだよ、そんなのプロでも何でもないよ」という事

たしかに言っていることは一理ありますし、知識ほとんどなくて全部をしらべていたらそれこそ一般の方と同じで、呼んだお客様からしても不安や不信を感じると思います

ですので当然ですがある程度以上の知識と相場は頭に入っていなければならないですし、そのためには時間と経験が必要になります

日々買取でお客様と話していて感じるのは高く買って欲しいというのはもちろんですが、よく言われるのはわかっている人に見てもらって買って欲しいという事です

特に遺品整理などで両親が遺した品物などの場合、遺されたものがどういったものなのか全くわからない場合も多く、値段ももちろんだけどいつくらいの時代のどういったもの、何という作家でどのくらい評価されているか、必死で集めてたけど価値があるのかどうか、そういった事にちゃんと答えられるかどうかが買取業者として大切な事の一つだと思います

そういう事にはまるで答えられずに、携帯とにらめっこして「全部で〇万円です」と言われても納得できないというのは当たり前です

ただし当社の場合、ネットやアプリなどを完全に否定するかというとそんな事はありません

必要があれば使うほうが双方にメリットがある時も多いです

基本的には自分の知識などで査定はしますが、相場が曖昧なものや得意ではないジャンルのものなどはサポートの意味でもちゃんと使って正確な査定を心掛けます

逆に冒頭のような一切自分の目だけを頼りに査定する、昔からの業者の方が実は不誠実だったりする事も多かったりします

どういうことかというと例えばカメラ専門店やオーディオ専門店、茶道具専門店が自分の専門の品物だけの査定で呼ばれて全て扱ったことのある品物で、状態のチェックだけして相場は全て頭に入っているというのであれば問題はありませんが

遺品整理などで家具から掛軸、オーディオ、おもちゃ、レコード、釣り具など多岐に渡る品物を出された時にすべてのジャンル完璧に理解できている人などほとんどいないと言えます

それを自分のわかる範囲の知識と、何となくの勘で査定してしまうのはかなり危険な事だと思います(お客様にとっても)

「携帯なんかに頼らないで、自分の目で買わなきゃ」と言っている業者ほどわからないものに関しては安く査定します

なぜならわからないからです

何となく高そうだなと思うオーディオ類が出てきて、3万位かもしれないけど何十万とかするかもしれないと思った場合そういう業者は必ず3万以下で買おうとします

間違っても良さそうだから10万くらい値段つけようかとはなりません

仮に正確な相場が分からなくても、ネットで調べたり同業者に聞いたりして実は30万円位は売れるものだとわかって例えば15-20万円の査定額をつけるほうが良心的だと思います

特に専門店が専門のジャンルしか取り扱わないなら通用しますが、幅広いジャンルを網羅する場合はどうしても完全にわかるという事は正直にいって難しいです

もちろん日々、知識の幅と深さは更新して行かなければなりませんが、やはり必要な時はネットなどを利用することも大事だと思っています

実際に私も正確に相場がわからないものに関してはお客様にも正直に説明して調べるようにしています

調べずに適当に査定していまうと知らないままになってしまいますが、調べて理解したら知識も広がって次のお客様の買取のときに役立ちます

買取を本格的に始めたときは正直今よりも調べる機会は多かったです、でもその時の知識が今活かされていることは間違いありません

これからも必要な時は(もちろん自分の知識がメインだという事は当然ですが)双方のために、しっかりと調べたうえで査定していこうと思います

 

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