出張買取にお伺いしても、あえて買取しない時

2023-01-19

  • 深沢美術店のこと

買取のお問い合わせをお電話・メール・LINEでいただいた際に、当社で買取できそうな物があるかどうかを判断した上で難しそうでしたらお断りさせていただいて、可能性がありそうな場合はお客様のご都合に合わせて出張査定させていただきますが、残念ながらお伺いさせていただいても何も買取できる品物がない場合もあります(こういった場合でも、もちろん出張料や査定料といった形で費用をいただくことはありませんのでご安心ください)

もちろんお伺いしなければわからない事なので全然問題ありませんし、当社の方針としてはせっかく呼んでいただいた事もありますしお客様のご要望が買取してもらいたいというより、少しでも荷物を減らしたいという場合もありますのでその際は評価の低いものでもなるべく集めて買取するようにはしています

しかし例外的に買取自体は本来ならできる場合でも、あえて買取しない時もあります

それはどういう時かというと、まず基本的に今の相場で高く評価できるのが難しくかつお客様がそれを高く評価している場合です

特にご本人が高額で購入した品物の時にこういう状況になる事が多いです

例えばバブル期に何十万で買ったリトグラフ、百貨店の展示会などで買った人間国宝の作家が作った壺などでこういう品物は今だと当時の10分の1にも満たない価格で売買されているという事も珍しくありません

この場合でお客様自身もその現状をある程度ご存じでしたら、細かく今の相場をご説明して買取価格も目一杯頑張ってもこの位ですよとお伝えして検討していただきますが、現状の相場など全く理解していただけなそうなお客様には査定額すら伝えない場合もあります

それはストレートに査定額を言ってしまうとお客様が不機嫌になってしまったり、「あなたは何もわかっていないのね」と不信感を持たれてしまう事もあります

そういう時はなるべくお客様のプライドを傷つけないように品物自体は間違いなく良いものである事を伝えつつ、どうしても当時と比べると評価は下がっていますので、まだお手元に置いておいた方が良いのではと売却しない方向で話を勧めたりします

こういう状況で現状を説明して買取したとしてもお客様の満足度は低いですし、場合によっては「安く買い取られた」「本当はもっと高かったんじゃないの?」と思われたりしかねません

また現在評価の低い品物を買取らせていただいても、お客様も満足していただけず当社もほとんど利益は出ずらいですし、その先の業者や購入してもらうお客様もそんなに喜んでもらえないという、商売の基本である三方よしの逆になってしまいかねません

そんな誰も喜ばない状況になるのであれば、むしろ買取にお伺いしても買取しない方がいい時もあるのです

何事も強引に話を進めればいいという事ではないのは、買取を続けてきて身に染みて学んだことです

 

 

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