本当は別に目利きに買い取って欲しいわけではない?

2022-02-17

  • 深沢美術店のこと

当社がお客様から呼ばれて出張査定にお伺いして、品物を拝見させていただくときはなるべく品物がどういったものなのか、今どのような評価をされているかなど細かく説明するようにしています

その方がお客様の満足度も上がりますし、信用もしていただける場合が多いです

なのでよく「ちゃんとわかってくれている人で良かった」「どの位価値があるかわからなかったけどしっかり説明してもらって納得しました」「おじいちゃんの遺品で品物自体が何なのかわからなかったので、わかってよかったです」など言っていただけることがあります

こういう事を言っていただけるとこちらも嬉しいですし、きっとお客様も満足していただけていると思うのでお互いwinwinでいい仕事ができたと感じます

しかし時にはしっかりと説明してもご納得いただけない場合もあります、例えば昔と違って今は需要がなくて評価が下がっている品物の場合そういった事を説明させていただいても、購入した時の値段を引き合いに出して「いくらで買ったと思っているの?全然わかってないのね」と言われてしまう事もたまにあります

特に私は40代で見た目が貫録がないため余計に「何も知らないんじゃないの?」「経験も少ないのかしら?」と思われてしまうのかもしれません

そしてお客様の中には「高く査定してくれる=よくわかってる」「安く査定される=よくわかっていない」と思われる方もいらっしゃいます

もちろん自分が売る立場になった時のことを考えると、少しでも高く買ってもらいたいという気持ちはわかりますがどんな品物にも相場というものがありますのでそれを超えて買取することはできません

ですので先ほどのように昔高くても今相場が下がっているものや、もともと評価の低い品物は残念ながら高く査定することはできず、そうすると「あそこは何もわかっていない」などと言われてしまう事もあります

そういう事をなくすように場合によってはネットオークションでの取引履歴なども見せたりするのですが、なかなか分かってもらえない場合も多いです

そういう方からするとちゃんと品物の事や相場を理解しているとかは関係なくて、満足できる査定をしてくれるかどうかが大事なんだと思います

また別の角度からの話になりますが、実際聞いた話で由緒正しいかなりの旧家から買取で呼ばれた業者が玄関に置いてあった品物の査定を頼まれました

それは一見立派で高価に見えたらしいのですが、実際はそれほど評価できるものではなく正直に「あまり評価できるものではなく買取させていただくなら3万円くらいですかね」というと「そうですか、では結構です」といって断られ、次に呼ばれた業者も査定して「残念ですけどほとんどお値段はつきません」「わかりました、私たちは良いものだと思っていますので」といわれて帰らされ

最後に呼ばれた業者が家の雰囲気と品物の雰囲気を見て良くわからないまま「○○万円で買いますよ」と言ったら「やっとわかってくれる方が来てくれた」と喜んで母屋や蔵にある数多くの品物を見せて「ぜひ買い取ってください」という話になりそれらすべてを買取って大儲けしたという話があります

これは亡くなった父親が一番大事にしていたものを一番高価なものだと思っていた遺族の方が、それを評価してくれた業者を信用して、実はそれより遥かに名品の数々をまとめて売ったという事だったのです

そして実は最初に見せた一番高価なものだと思っていたものはやはり全然良いものではなくて、五万円くらいの価値しかなかったらしいです

つまりしっかりと評価ができた業者は帰されて、良くわからず高い値段をつけた業者が儲かったという事で、もちろん最初の1点だけだったら損していたので、たまたま運が良かったとも言えますが実際にこのようにして運だけで大きく儲けている業者もいることは事実でそこがこの仕事の難しい所でもあります

つまりお客様から買わせてもらう時は目利きであることが100%有利ではないという事です

それでも当社はなるべく私とスタッフでわかるものはしっかりと説明して相場に準じて査定させていただき、万一わからないものや曖昧なものは信頼できる外注の専門家に聞いたりしてご納得いただけるようにしていこうと思っています

そして知識や経験を積んでもっと目利きになろうと思っています

その方がこちらもお客様の前でも安心して説明・査定が出来ますので精神的にも楽になりますし、こちらが大損したり不当に安く買って後で悪評が立ったりすることはなくなります

 

 

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