最近、九州の魚卸売市場で今や高級魚のほとんどが中国人バイヤーが競り落として、香港や上海の高級ホテルや高級料理店に卸されるというのをニュースで見ました
競りなので当たり前ですが、一番高く値段をつけた人が落札するシステムになります
そのシステムだと高級魚のほとんどは、日本ではなく海外に行くことになります
日本で取れた魚なのに今後、日本人は食べれないことになってしまいます
残念な気もしますが資本主義である以上仕方のない事だとも言えます
そして同じ現象が古物の世界でも起きています
それを一番実感するのは業者市場になります
なので一般の人が直接目の当たりにする事は少ないと思いますが、今この業界は完全に中国人を中心に回っています
特に買う方はどこの業者市場も中国人が量も金額も過半数を占め、中国人抜きで成り立つ市場はもはや存在しないと言っていいと思います
数年前から中国美術が高騰しているというニュースはテレビなどでも取り上げられて知っている方も多いと思いますが、今はそれだけではなく日本の工芸品や古道具類などまで幅広く中国人バイヤーが買い漁る状況になっています
前は日本人と中国人が競り合ったりしていましたが今は中国人同士が競りあって値段が高騰し、とても日本人には買えない値段になったりしています
正直その恩恵は大きく業者市場の売り上げは伸びているようですし、新しい業者市場も増えてきています
当社のような買取業者にとっても幅広いジャンルで売値が上がるとその分お客様からの買取も、以前は買い取りできなかった品物が買い取れるようになったり、前よりも高く買えるようになったりとメリットも大きいです
ただし大抵物事には表裏があるように、業界全体にはデメリットもあります
まず業者市場で仕入れをして店や骨董市で売っていた、日本人古物商はなかなか仕入れるのが難しくなりました
競り合って値段が高騰したときなど、骨董市で売る値段を超えてしまう事もしばしばあります
こういった状況では業者市場に来ても、ほとんど買えなくて実際に来なくなってしまった業者も多いです
これが続くと今後骨董市や骨董店が存続する事が、どんどん厳しくなっていくと思います
そしてそれ以上に大きな問題なのが古物の海外流失になります
ま日本人が買って国内で売れば、また回り回って品物が流通する事もありますが、海外に渡ってしまうとほとんど日本に戻ってくる事はありません
つまり日本国内の古物がどんどん海外に流失してしまって、長い目で見ると確実に業界は先細りしていく事でしょう
そして前にもブログで書きましたが、買い取りさせていただくお客様の大半は団塊の世代とそれ以前の世代の方たちの品物になります
それ以降の世代の方たちはもともとあまり物は持たない方が多く、団塊の世代の方たちの荷物整理が終わったら品物自体が減少していき、今あるものは根こそぎ中国などに行ってしまうと売り買いする品物がなくなっていき、この業界は成り立たなくなってしまいそうです
さらにそんな状況になったら中国人バイヤーが来なくなってしまって、ますます厳しくなってしまいます
多くの業者が薄々気がついていると思いますが、この流れを止めることは難しくとりあえずこの流れに乗っかって売上を上げて、さらに中国美術で大きく当てて逃げ切りたいと思っている人が多いと思います
日本でコロナが流行ってインバウンドがなくなったときに苦境に立たされた観光地などに対して「外国人ばかり優先して、日本人を大事にしなかったからだ」と言ってバッシングする人もいましたが、商売として高く評価してくれる人を優先するのは当たり前の事ですし、その方たちが満足してもらえるように努力するのは悪い事では勿論ありません
しかし古物の世界の話になるとさっき書いたように中国バブルの恩恵は確かに大きいですが、先の事を考えるとかなりなチャイナリスクを負っていることも自覚しなければなりません
それを理解した上で今とこれからどのように行動していくのか、考えて行動していかなければなりません