日本の遺産を食いつぶしている古物業界の未来(リサイクル市場編)

2021-08-06

  • 業者市場

当社は主に骨董品を買取・販売していますので参加する古物市場は骨董市場がメインですが、お客様の要望に合わせて骨董品以外の新し目の家具やギフト・オーディオなども買取引取する機会も多いのでリサイクル市場にも参加しています

初めて参加したのは15年くらい前になりますが、最初の頃は家電や家具といったリサイクル品に混じって出品されるアンティーク家具や古道具などを買うために参加していました

当時はリサイクルショップが品物の多くを競り合って、相場も今よりも高く取引されていました

主に競られるのは洗濯機・冷蔵庫・エアコン・テレビなどの家電、ダイニングセット・キッチンボードなどの新しめの家具でした

ヤフオクなどのネット専業の人達もいましたが、主流は店舗を持つリサイクルショップが中心でまだまだリサイクル品が売れていた時代だったので日本人同士が競り合って、活気がありました

外国人はほとんどいませんでした

それがデフレに伴い新品家電・家具の価格が安くなるにつれ、リサイクル品の値段も安くなり市場での相場も下がってきてリサイクルショップ自体に元気がなくなり、むしろネット専業の人達のほうが時代に合っていたので徐々に力をつけていきました

しかし全体的には売り上げが下がり、活気がなくなってきた所に救世主のように現れたのがタイやフィリピンなどの東南アジアの業者でした

彼らのビジネスモデルは日本のリサイクル品を大量に集めて、コンテナで母国に送って現地で販売したり現地の市場に出品したりする事です

「日本で買ってコンテナで送って、東南アジアで売って利益出るの?」と最初は思っていましたが、昔の経済格差だったら考えられないことですが、ずっとデフレの日本と違い東南アジアは経済成長を続け特に富裕層と呼ばれる人たちは多くの日本人より豊かになっていますし、まだまだ物不足で購買意欲が高く特に日本製は現地ではかなりブランド力があり、仕入れてもすぐに売れてしまうらしいのです

それでも最初は日本人が買わないようなボロボロの家具や雑貨ばかり買っていて、口の悪い日本の業者は「ゴミはあいつらに安く買ってもらえばいいよ」などと言っていました

しかし業者も増えて、買う品物も徐々にいいものを買うようになり(現地の生活レベルが上がって状態の悪いものが売れなくなってしまったため)日本のリサイクルショップがほとんど買えなくなってしまいました

日本ではあまり人気のない使用済みの食器やぬいぐるみ、ベビー用品などが人気なので東南アジアの業者同士が競ると驚くような値段になったりして、それを見た日本人の買取業者がそういったものを買ってもらうために積極的に集めるようになって、結果として昔、リサイクル市場のメインだった洗濯機や冷蔵庫などほとんど出品されなくなり、食器やぬいぐるみ、大型家具などがメインになりました

今や完全に東南アジアの業者がいないと成り立たない輸出業者市場と言えるでしょう

実際に力のある東南アジアの業者が遅刻すると、市場が始められないくらい影響力を持つ時代です

どうしてそういう風になったのかというと、大きな理由の一つが日本製の品物の質の高さにあるみたいです

これはメイド・イン・ジャパンではなくメーカーが日本という事です、彼らに言わせると例えメイド・イン・チャイナであっても中国メーカーのメイド・イン・チャイナと日本メーカーのメイド・イン・チャイナでは品質が全然違う、現地の人が欲しがっているのは日本メーカの物と言っていました

基本的に日本は長い間、モノ余りの時代で特にバブルなどを過ごしてきた人たちが持っていた、贈答品や高価な家具が遺品整理や家の売却に伴なって市場に大量に出品されている状態が5年以上続いていますが、これが尽きてきたら市場に品物が少なくなってきてしまいます

今は過去の豊かだった時代の遺産(品物)を外国人に買ってもらって成り立っていますが

ビジネス的に合わなければ彼らもわざわざ日本に来ることも無くなってしまうでしょう

そうしたらリサイクル市場はかなりの危機を迎えるのは間違いありません、物が売れなく単価の安い日本市場をメインとする昔のようなリサイクル市場は成り立たないでしょう

それがだいぶ先の事か、すぐの事かはわかりませんが業界的にはかなりまずいのではないかと個人的には思っています

 

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